今年の日本は春先のWBCから年末のドジャースへ移籍までほぼ一年中大谷翔平一色だった。WBC出場後に調子を落とした日本代表選手も居たが、彼のメジャーでの大活躍のおかげで出場の賛否すら議論に挙がらなかったことは何よりであった。すべてが批判ばかりの日本において大谷翔平と藤井聡太だけがその難から逃れた貴重なふたりだった。
ゴールデンウイーク明けの五類移行のタイミングで収束宣言もなく、じんわりとそしてなんとな~く通常の日常生活が戻った。過ぎてみればあっという間だった気もする新型コロナウイルスであったが、何事も振り返れば一瞬でまだ見ぬ明日のが長いものである。数々の緊急事態を乗り越え、改めて人類の強さを感じつつ、買いだめしたマスクの使い道を考える。
下半期の政府は何をやってもとにかく批判の嵐でなかなか物事が先に進まない中で、すっかり記憶の片隅に追いやられてしまった五月に開催されたG7広島サミットの意義は大きかったと思う。広島出身の総理が被爆地で行う意義は、ウクライナ大統領の急遽参加でさらに意義深い会合になった(ただ気が付けばそれまで連日トップニュースで取り上げられていたウクライナが今ではイスラエルに変わってしまった)。色々な意見はあったが、やはりすべては2016年に当時のアメリカ大統領の歴史的広島訪問が布石となっている。また韓国と10年以上途絶えていた首脳間の相互訪問「シャトル外交」再開で劇的に両国の関係が動き出したように歴史的な動きまでにはどうしても時間が掛かるものだが、動き出すと少しずつ色々なものが加速していく。10月に長崎県対馬市の観音寺から2012年に盗まれ韓国に持ち込まれた仏像を巡り、所有権を主張する中部、瑞山の浮石寺が仏像を保管する韓国政府に引き渡しを求めた訴訟で、韓国最高裁は浮石寺側の上告を棄却し、観音寺の所有権を認めた2審判決が確定した裁判結果もシャトル外交の影響があったのかも知れない。ただそれ以外は年々加速している枝葉末節(中心からはずれた事柄。本質的でない、取るに足らない事柄)で、来年はさらに進展がなく停滞するだろう。さらに「便所の落書き」ばかり気にしていれば尚更だろう。
また暴露系や私人逮捕系・迷惑系ユーチューバーの画面内だけの虚勢と逮捕以降の末路について、若者たちは今一度安易な視聴や投票、投稿について考えるきっかけになることを祈るばかりである。
今年の訃報【音楽家】鮎川誠(シーナ&ロケッツ)、高橋幸宏、坂本龍一、ティナ・ターナー、谷村新司、もんたよしのり、大橋純子、KAN【スポーツ】門田博光、中西太、杉下茂、北別府学、横田慎太郎、三浦貴(元ジャイアンツ)、朝潮太郎(元大関・四代目)、寺尾(元関脇・錣山親方)【俳優】三谷昇、奈良岡朋子、ライアン・オニール【作家】椎名誠、大江健三郎、森村誠一、伊集院静、山田太一【漫画家】松本零士、【芸能】笑福亭笑瓶、上岡龍太郎、春日三球、財津一郎、犬塚弘(クレイジー・キャッツ)、島崎 俊郎【政治】扇千景(女性初の参議院議長)、細田博之前衆議院議長がお亡くなりになった。またryuchell(りゅうちぇる)は自ら命を絶ち、BUCK-TICKの櫻井敦司は私と同じ享年57歳だった。
今年も色々な出来事があったが、私の中で一番興味深かったのは「国立科学博物館が行ったクラウドファンディングで9億円を超える資金が集まった」ニュースである。国立にも関わらずという点と、短期間で集まった資金の額と共に国立自体の意味を改めて考えつつ、コロナ禍で色々と活用されたクラウドファインディングの存在が、公金の投入ではない新しい形態を作りつつある。
また対話型AI(人工知能)チャットGPTやライドシェアについてもあれこれと批判が出ているが、きっと数年後にはドローンのように市民権を得るだろう。今後も増加する全く知らない業態や機能の登場のたびに批判から入らずに全体を見渡しながら、その意義と進歩をしっかりと理解するようにしたいものだと思う。
【明日12/30(土)午後~1/6(土)まで正月休みとさせて頂きます】