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ジョホーンの危機・絶滅か。
Atrophaneura ( Pachliopta ) jophon Gray 1852
ジョホーンベニモンアゲハ Ceylon Rose
かなり昔のことだが、この蝶は、まさかのヘクトールベニモンアゲハの亜種のように扱われていたこともあるらしい。
その後、南インドに分布する Atrophaneura ( Pachliopta )pandiyana Moore 1881 のスリランカ代置亜種のような扱いを受けてきたようだ。
1961年に 至り Munroo.E により、これらは別種同士であるとされ、ジョホーンベニモンアゲハ(以下ジョホーン)はスリランカ固有種とされた。
その名も Ceylon Rose.
当時はペットボトル飲料や良い水筒がないので椰子の実のジュースをよく飲んでいました。
この蝶は、かってはスリランカ南西部に広がっていた広大な熱帯雨林では稀ではなく棲息していた。
しかしこの地域では1960年代からの人口急増があり30年で人口は倍に増えたという。
そのため熱帯雨林のほとんどが材木生産需要と農地造成でたちまち切り倒され消えてしまった。
ダブレラによればジョホーンの主たる生息地であった Ratnpura から Daniyaya にかけての熱帯雨林は、恐らく1970年代までに、この世から消えてしまったという。
ジョホーンの記録のあるもうひとつの比較的せまい生息地 Sinharaja State Forest Reserve はジョホーンの最後の砦と目されていた。
しかし、ここでも無秩序な猛烈な森林破壊が急速にすすんでおり 1975 年、ジョホーンを求めて同地を訪れたダブレラは、かろうじて1♂を見たのみであったという。
もともと 11000 ha ほどあった Sinharaja State Forest Reserve の熱帯雨林は、その頃までに 5000ha 、半分以下に激減していた。
さて、さらに40年以上が経過した 2017年現在では一体どんな状況なのだろうか。 ジョホーンはまだ健在なのだろうか。
何年か前、スリランカの保護区内でジョホーンを密猟したヨーロッパ人蝶愛好家が捕まったというニュースをどこかで見かけた記憶があるので、きっとまだ絶滅はしていないのであろう。
いつの間にか、ジョホーンは 固有種ダルシウスや、クリノなどとともにスリランカの自然保護の象徴的な存在になっているという。
一方、かろうじて原始の熱帯雨林が残っている保護区内に居住する人たちはいまだに勝手気ままな森林破壊を続けているようで監視の目は、まったく行き渡っていないという。
このジョホーン外国人密猟者氏は当局が自然保護をやっているという事をアピールするための最高のスケープゴートになったことは間違いない。
今から半世紀近くも昔のこと、スリランカに蝶採りにいった私たち夫婦は 朝早く Ratnapura ラトナプーラ のホテルの庭木の花に、おびただしい数のジョホーンが吸蜜の訪れているのに遭遇した。
当時は、なんだ ベニモンアゲハのでっかいのがたくさんいるな、朝食後少し採集しようかなといった軽い気持ちであった。
ゆっくり朝食の後、濃厚なセイロン紅茶を楽しんでから、ネットを持って採集にゆくとあれほどいたこの蝶がウソみたいにいなくなっていた。
それでも、目についた分をすべて採集したのであった。
後にこの蝶が Ceylon Rose として有名な スリランカ固有種ジョホーンであり、生態的特徴として早朝のみ低く飛び吸蜜に訪れるということを知ったのであった。
ジョホーンを見たのはこれが最初で最後であった。恐らくラトナプーラに生き残っていた最後の個体群であったとおもわれます。
♂表面
♂裏面
♀表面
♀裏面
前述のごとく、この蝶の生息地であったRatnpura から Daniyaya にかけての広大な熱帯雨林は既に完全に消えてしまったので、もうラトナプーラにいってもこの蝶をみることはないだろう。
ひらたく言えばここでは絶滅したということです。
ラトナプーラは宝石の街。いたるところ宝石屋ばかり。街を歩いていると、宝石買わないか?とすぐに売人が寄ってきた。私たちはつい雰囲気に呑まれ、日本ではとても手がでないような美しいスターサファイアとスタールビーのきれいどころを、お手頃価格で買ってしまった。アレキサンドライトは、さすがに高価で手が出なかった。
Sri-Lanka の蝶採集の思い出はまだまだ尽きませんが、とりあえずここで一休みにします。
浅見さんから貴重なコメントをいただきました。本当にすごい方がいるものです。
スリランカの蝶 (浅見 訓男)
2017-04-06 20:00:28
70年代のスリランカレポート、興味深く拝見しています。小生がスリランカに居住していたのは97-01年ですが、すっかりスリランカファンになってしまい、以後も年に3回訪問、退職した今は年に100日以上滞在しています。
09年に内戦が終結、それまで行けなかった北部や東部も自由に行けるようになりましたが、蝶の採集禁止はますます厳しくなり小生も写真撮影が中心になってしまいました。
立派な蝶の生態図鑑が地元の研究者たちにより刊行されました。標本を殆ど使っておらず、スリランカ産247種の成虫と幼生期を網羅した大図鑑です。
クリノもヘクトールも40年前と比べたら大分少なくなっていると思いますが、自然保護のお陰かどうか健在です。再訪される機会があれば喜んでご案内します。
貴重な情報ありがとうございます。ぜひ、そのうちお会いしてお話をうかがいたいです。南陽堂のHP にご連絡いただければ幸いです。
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