空を飛ぶ宝石、ベアタミイロタテハ
Agrias beata その1
アグリアスの仲間は一般的に採集される個体数が少ないため標本はかなりの高値で取引され、空を飛ぶ宝石とも言われた。ベアタミイロタテハ Agrias beata は、コロンビア、エクアドル、ブラジル、ペルーの局所的発生地で得られている。これらの国々が国境を接するアマゾン河上流~源流域、標高300m 前後、やや高標高の地域に棲息する。いくつかの亜種や特異な Form が知られる。
A. beata beata 原名亜種はペルーのTingo Maria産。 裏面基部の斑紋は赤。前翅表金緑色帯は最も広くあでやか。
この個体は2003年11月に採集された Tingo Maria 産♂。 S.有賀コレクションより。
表面
裏面
私はアンデスアマゾン源流域のShima シマ、やその近郊でやや標高の高い Kubiriaki クビリアキ でベアタアグリアスを採集したが、原名亜種と同一の個体群とおもわれる。高い木の梢を矢のように飛ぶが突然、トラップに舞い降りる。トラップに来ているときは鈍感でいずれも指でつまむ格好で採集できた。最初に網をかぶせた1♂は激しく暴れてトラップ液で汚れてしまい惨めな姿になった。
Peru Andes Amazon Kubiriaki クビリアキ産♂
表面
裏面
Agrias beata ssp.stuarti Iquitos 産
この亜種スチュアルティは裏面基部から内側の領域が広範に赤ないし黄色くなり、翅表の金緑帯はとても巾狭くなる。
2004年1月に採集されたIquitos 産♂ 裏面基部から内側が柿色のタイプ。A.宮下collection より。
2004年1月に採集されたIquitos 産♂ 裏面基部から内側が黄色いタイプ。Y.村田collectionより。
表面
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Agrias beata の♀
アグリアスの♀はトラップ採集できる♂と異なり一般的にきわめて得難いとされ、標本の価格も異常に跳ね上がるようだ。特に、A. beata ベアタアグリアスの♀は とりわけ得難いとされ、コレクションすることは至難とされていた。その A. beata ベアタアグリアスの♀ を以下に呈示させていただきます。
Peru Andes Amazon Kubiriaki クビリアキ産♀ 2001年12月採集品 Y.村田collectionより。
表面
裏面
Peru Andes Amazon Kubiriaki クビリアキ産♀ 2001年10月の採集品。S.有賀collection より。
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Agrias beata ssp.stuarti Iquitos 産♀。 2004年1月の採集品。H.菱川 collectionより。
表面
裏面
貴重な A.beata の標本を撮影させていただいた方々は、いずれもかなりの資産家、ないし熱烈なアグリアス収集家の方々で、かってこれらの標本を収集することは至難であったと思われます。私のような一般的な収集家ではこのような立派なコレクションは困難でした。月日は流れ、2022年現在では、採集や飼育の技術も進歩し、昔と比べるとA. beata の標本価格はかなり下がっています。それでも Agrias beata が空を飛ぶ宝石であることは変わりがありません。
この項、 続く。
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