北海道昆虫同好会ブログ

北海道昆虫同好会は北海道の昆虫を中心に近隣諸国および世界の昆虫を対象に活動しています。

ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記  その六

2016-04-21 00:18:44 | 採集記・旅行・写真
にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村


にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村


ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記
~西パプア(旧:西イリアン)・トリバネ事情~

             その六

                   中川忠則






2014年10月16日(アルファックMaibri村)

アルファックでの最終日、やはり飼育ケージの周辺で採集するほかなかった。

山の天気もこの日ばかりはガスが出て、トリバネチョウの飛ぶ気配がしないので、私は戦線を離脱してデリアスを狙うことにした。

デリアスは、頻回に飛来してくるものの、素早くて空振りの連続であった。

それでも、下山までの残り時間の約1時間、やっとのことで採集できた9頭中7頭が別種、その奥深さを感じ取ることができた。





一方、飼育ケージ内では、各種雌が飛び交っており手元で観察できた。


しかし、飼育ケージは厳重に管理され、いつでも拝観できるものではない。

今回、撮影目的のメンバーが、事前に羽化の時間帯を希望していたが、スケジュール優先のためか、なかなか希望には添ってもらえなかった。

ケージ内の雌は、日が差すと飛び回って、外側からも見ることが出来たが、雄の吸蜜のタイミングは微妙で、その優雅な飛翔に出会えた時間はほんのわずかであった。

チトヌストリバネ♀。



ゴライアストリバネ♂。


ゴライアストリバネ♂。

そして終盤、そろそろ山を下りる時間となったその時である。

皆、網を片付け始めた時、広場の下方から、山仕事から戻って来た村人の大きな歓声が聞こえた。

すると突然ゴライアスらしき雌が悠々と飛んでくるではないか。さらに、それを追飛するパラディシアの雄までもが向かってくる。

それこそ、大勢のギャラリーの中、最前列精鋭メンバーの総力戦となった。

しかし、惜しくもパラディシアはスルリと交わして飛び去り、メンバーとギャラリー全員の落胆の声が漏れた。

それでも、今回、皆が初めて、パラディシアの飛翔を見ることができたのである。

まさに、「赤の広場パラディシア舞う」が如し、胸躍る瞬間であった。



             ゴクラクトリバネ♀。






メニ村昆虫採集専用ロッジ分譲の“お知らせ”

アルファック・マイブリ村の途中、トリバネチョウ採集で有名なメニ村には、昆虫採集者専用のロッジがあり、シャワーも完備しているとのこと。

かつて、同ロッジを利用したツアーもあったと聞いているが、現在、同施設のオーナーは国外に転居しており、物件は閉鎖され売りに出されている。

サイテスの権利付きで、日本円で3千万円とか。お買い得かどうかはわからないが、昆虫採集ツアーの客相手の経営となると厳しいかもしれない。




にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村


にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村

ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記  その五

2016-04-20 00:25:36 | 採集記・旅行・写真
にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へにほんブログ村


にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へにほんブログ村

ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記
~西パプア(旧:西イリアン)・トリバネ事情~

             その五

                   中川忠則


2014年10月15日(アルファック・Maibri村)


今回、車の手配の関係からメンバー全員がロスチャイルド(O,rothschildi)のポイントに行くことは出来なかった。

このため、「ロスチャイルドチーム」(オプション)と「パラディシアチーム」に分かれることになり、筆者は、運転手と定年後海外採集に参加しているというM氏とともに、パラディシアのポイントを巡った。

しかし、トリバネチョウは、飼育ケージ周辺以外では極めて少なく、ただ一度、ゴライアスの雄が私のトラップめがけ急降下したものの、振り向きざまの一瞬で、網を振ることさえできなかった。

トリバネチョウは、雄雌ともに赤いトラップに飛来するが、雄は、花でないことがわかると瞬時に飛び去るので、躊躇なく網を振らなければならない。

トリバネチョウは派手な上、大きいのでゆったりと飛ぶものと思っていたが、雄は俊敏で周りの緑に完全に同化していること、雌もまた周囲の風景に溶け込み、近くに飛来するまで気づかないこともある。

動態視力に優れている村人や子ども達の叫び声で気付くことが多いので、彼らと仲良くすることも採集のコツである。

デリアスが飛来する林道。



この日は好天に恵まれ、絶好のトリバネ日和と思われたが、筆者は午前中を空しく過ごした。



結局のところ、最良のポイントはケージや広場の周りと理解して広場に戻ってきたのだ。


道理で、広場の周りには、食草のウマノスズクサが植栽されているので雌が訪れ、その雌に雄が誘われて飛来するのである。

ところがである。飼育ケージのポイントに戻ったM氏の気迫が違っていた。

氏は、なんと、飼育ケージ前のハイビスカスに訪れたパラディシアの雄をゲット。


さらにその後、同1頭を追加したのである。

もはや「ツキ」の全てを持って行かれた感であったが、氏は感動で声を震わせていた。

そう言えば、マノクワリ行き機内の最後尾、筆者の隣に座していたM氏は、サービスのコーヒーが足りず、からかうかのような素振のキャビンアテンダントから、いくつもの砂糖とミルクを貰って首をかしげていた。

後に笑みを浮かべてコーヒーを届けてくれたのであるが、どうやら、氏の「幸運」は「天空の女神(パラディシア?)」の賜としか思えなかった。

一方、「ロスチャイルドチーム」も惨敗、主な吸蜜源となっている花が全く咲いていないというのだ。

意外にもガイドも開花時期を承知していなかったようである。

ちなみに8月と12月がベストで多数飛来するという。

まさに、「M氏はパラダイス、メンバーはスティクス」と云ったところだ。

ロスチャイルドのポイントは、飼育ケージのある集落からさらに1時間30分先、これまで以上に悪路とのことであるが、良好なポイントらしく、吸水のミイロタイマイやデリアス多数を採集することができたとのことである。

また、この日は、一部のメンバーが参加する夜間採集(オプション)が行われ、甲虫や蛾類に成果があったと聞いている。

参加者の中で最年長のベテラン、道昆の山崎氏は、いつも子どもたちに囲まれていた。氏は菓子を振る舞い、子どもたちもまた、お礼にクロツヤムシや小さなクワガタムシを運んで来るのである。

そのうち、クモやムカデまで持って来るので大騒ぎになってしまった。

そんな、トリバネに全く執着のない山崎氏であったが、広場では、見事、完全品のチトヌスの雄をゲットしたのである。


ウツボカズラ。




                      この項 続く


にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へにほんブログ村


にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へにほんブログ村

ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記  その四

2016-04-19 00:20:44 | 採集記・旅行・写真
にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村


にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村

ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記
~西パプア(旧:西イリアン)・トリバネ事情~

             その四

                   中川忠則




2014年10月13日~14日(アルファック・Maibri村)

2日目からは、アルファック山塊、海抜1,500メートル地点のマイブリ村のトリバネチョウのポイントに通った。

ポイントへは毎回、ガイドと標本商のJ氏が案内してくれるのであるが、4輪駆動車で約2時間の道のり、驚くほどの急坂と悪路に次ぐ悪路、川をも走破して向かう。

途中、有名な河原のポイントがあるが、早朝のため日が差しておらず、蝶の姿は見られないのでスルー。

トリバネチョウのポイントは主に、J氏が所有する飼育ケージの周囲で、ゴライアス(O,goliath)、パラディシア(O,paradisea)、チトヌス(O,tithonus)、プリアムス(O,priamus)が姿を現す。

特に、敷地内の小高い広場が有名で、メンバーの複数の赤い網とJ氏が用意してくれた赤いシーツがたなびくことから、筆者らは、ここを「赤の広場?」と呼んだ。


広場でスタンバイした直後、突然チトヌスの雄が頭上を飛び去った。

「ここにトリバネが居るんだ」と独り言、にわかにこころがざわめいた。

しかし、広場でのトリバネ採集は厳しい。

一定方向から飛んで来るトリバネチョウめがけてメンバーが待機するので、「せめて飛ぶ姿が鑑賞できれば良い」などと悠長なこと言っていると、到底網にすることはできないのである。


案の定、2日目と3日目は、ゴライアス、チトヌス、プリアムスの破損した雌のみの採集成果となってしまった。


プリアムス♂の羽化。



プリアムストリバネ♀。



広場周辺は低地帯に比べ、いわゆる雑蝶が少ないので、トリバネのみ狙っていると全く成果は上がらない。

ここには、美しいヒメジャノメチョウの仲間と赤いハレギチョウが飛んで来ては慰めてくれるが、時折、銀色に輝き、不規則に飛んでくるデリアスは、狙いを定めて網を振るも、ほとんど振
り逃がしてしまった。










マノクワリの食事について

ホテルでの朝食は、スラウェシ島トラジャ出身のスタッフが、トースト、卵焼き、果物、そして本場トラジャ・コーヒーをサービスしてくれた。

山での昼食は、飼育マイブリ村のJ氏別宅で、調理担当の女性スタッフ手作りのナシゴレン又はミーゴレンに、味の付いた鶏と目玉焼きを添えて提供された。

夕食は、毎回、ガイドの送迎により街に繰り出し、食堂又はレストランでの食事となった。

マノクワリの料理は、最初に決まって溶き卵のスープが出てきて、メイン料理は鶏・魚介の煮込みや揚げ物のあんかけ。

いずれも中華料理風でなかなか美味しい。飲酒は、マノクワリの人々は禁じられているが、旅行者は問題ない。明日の成果を祈って、ビールで乾杯。


        この項、続く。




にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村


にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村

ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記  その参

2016-04-17 10:55:04 | 採集記・旅行・写真
にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村


にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村



ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記 その参
~西パプア(旧:西イリアン)・トリバネ事情~

       

  中川忠則


2014年10月12日(マノクワリ・Walkapi村).

午前9時、マカッサルの旅行会社のガイドの出迎えを受け、定番のホテルに到着。

さっそく、採集準備をしてポイントへ向かった。

初日はアルファックに行くには時間が足りないことから、湾岸のワルカピ村での採集であった。



ポイントは、民家裏の畑に沿った小道を進んだところ。木々が鬱蒼として来ると森林性の蝶が現れた。



ここでは、パプアキシタアゲハやオオルリアゲハが頭上をかすめる。

パプアキシタアゲハ・


オオルリアゲハ。

イシガケチョウ、マダラチョウ、シジミチョウの仲間が飛び交い、深夜便の乗り換えによる寝不足も忘れてしまった。

日本に普通にいるキチョウと思って採集するも、ここは、ニューギニア。

明瞭な黒い縁取りのパプアキチョウは、全くの別物である。

パプアキチョウ。



昼食は、ジャングルで採集中のメンバーそれぞれに対し、ガイドとクルーがナシゴレン弁当と飲物を届けてくれた。

採集優先のサービスに感謝。


                 この項 続く。



にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村


にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村

ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記  その弐

2016-04-16 09:37:05 | 採集記・旅行・写真
にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村


にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村


ニューギニア島アルファック・トリバネチョウ採集記
~西パプア(旧:西イリアン)・トリバネ事情~

       その弐

  中川忠則



2014年10月11日(成田~ジャカルタ~マカッサル~マノクワリ)

2014年10月、列島を襲った台風18号と19号の狭間のフライトとなった。

台風は、既に九州南部に接近しているため北側を迂回、台湾の東海岸、フィリピン、ボルネオ上空を飛び、一路ジャカルタへ向かった。
  
ジャカルタ空港でスラウェシ島のマカッサル行きにトランジット、大都市ジャカルタの夜景とジャワ海の漁り火を眼下に深夜マカッサルに到着。

空港に付設のホテルで休憩をとり、ニューギニア島のマノクワリ行きに乗り換えた。
  
夜明けのニューギニアの山々が見えはじめ、鬱蒼としたジャングルが目前に迫って来た。

機は次第に高度を下げマノクワリ空港に着陸。

ところが、この空港、滑走路が狭いうえ、ひどいでこぼこ状態で、機体は大きな振動とともに、滑走路の端ま
で来て、勢い駐機場方向にUターン、何とも乱暴な着陸にあきれてしまった。



ホテルからアルファック山塊をのぞむ。


          この項、続く。




にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村


にほんブログ村 アウトドアブログ 自然観察へ
にほんブログ村