『何事にも最初は勢いよく飛び出すが、その勢いが長続きせず、どんどん落ち目になっていく・・・』
そんな様子を一言で言い表す言葉が「いかち馬」。 山口県その周辺で今も使われている。
その昔、現在の耕耘機が普及する以前は、田や畑を耕すのに牛や馬に鋤(すき)を引っ張らせていた。そのため多くの農家に牛か馬が飼われていた。
秋の取り入れが終わり、農閑期に入ると、農耕用の馬を競走させる「草競馬」が庶民の楽しみとして行われていた。娯楽の少ない時代、花形の競技であったように思う。
錦帯橋上流の河川敷や、学校のグランドがレース場に早変わり。
その草競馬に、「いかち」という集落から出てくる馬が多かった。
しっかり飼われたいかちの馬は、毛艶がよく、光沢さえ放つ美しさを持っていた。
ところどころに、毛が巻いたような模様まで付く。それを「毛花(けばな)が咲いた」と、馬の勢いを評価する通を唸らせたものだ。
それほどかっこいいのに、いざレースとなると、最初の飛び出しはいいが途中で息切れして抜かれてしまう。そんなことの繰り返しから、いつの間にか、良くも悪くも「いかち馬」という言葉が定着したのだということを、子どもの頃、草競馬の騎手を目指していたyattaro-に教えてくれた人がいる。 これと同じような言葉が「竜頭蛇尾」かな。
やっぱりいかち馬だったか・・・と言われないよう、今年も踏ん張らなくては・・・と、自らに言い聞かせるために、ちょっと回りくどくなったが、草競馬のお話しを一席。
お後がよろしいようで・・・。
( 写真: 草競馬の一場面 ネット拝借 )