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午後1時半、雲の多い空から時折覗く太陽が暑い。熱中症に注意だね~と思いながら庭に出たところ、
この暑さに帽子も被らず、ステッキも持たない高齢男性が家の前を通りかかった。かつては国会議員から市会議員に至るまで、選挙という選挙では必ずやって来て「〇〇党の△△さんを是非お願いします」と、それはそれは熱心に組織選挙の応援を依頼されたこともある人で、顔なじみである。実年齢は知らないがおおよそ同年配であろうと思っている。
「暑いですね~」声を掛けながら近づくと、何かしら落ち着かない様子、おまけに眼が泳いでいる。普段は奥さんと二人連れが多く、独りの行動はあまり見たことがない。ピンと感じるものがあった。そういえば彼の奥さんから、それらしい愚痴を聞かされたことがあったのを思いだした。
「今日はどちらへお出かけ?」「友達のところへ行こうと思う」「友達はどこにおられるの?」「すぐそこの団地」「家はわかるの、一緒に行こうか?」そんな会話の後、いきなり話題が変わった。
「私はここに2千円持っとるので預かっといて下さい」と、ポッケから千円札を間違いなく2枚取り出して「頼みます」と。お金の預かりは丁重にお断りして、このまま行かせては危険極まりない。「奥さんはどこにおられるの?」「ありゃ仕事」素っ気ない返事。奥さんは仕事をとっくに辞められている。こりゃ益々独りにはさせられんと、段々こちらの動悸が激しくなる。カミサンを呼んでうまいこと話をさせて「家に帰りましょう」と家まで送らせ、奥さんに渡した。「ちょっと叱ったから機嫌をそこねたんよ」と割と淡泊に。何はともあれ、何事もなく一件落着。
たまたま庭に出たタイミングで彼が通りかかったからいいようなものの、1分もずれていたら彼のお友だちの家探しは果てしなく続いたのではなかろうか。やがて防災スピーカーから「行方不明のお尋ね」などと放送されることになっていたかも。
そこで思うのは、明日は我が身とならない保証はない。こればかりは本人は気を付けているつもりでも、病気が正気を失わせるという始末の悪さ。付ける薬もないようだ。何か歯止めになる要素を見つけたいな、なんて今は真面目に考えるのだが。止めた止めた、そんな先のこと思ってみるだけ先細りだ。
ケーセラセラ~と言う言葉が一時流行ったよね~。