地域活動の専門部担当者から「我々の小さな活動が少しですが成果を見せている」との連絡を受け、取れたてのワカメを試食させてもらったのは2週間前。その時、大潮などで岩礁が剥き出しになったり、海底の状況が見られるときに広報用の写真を撮りたい旨をお願いしていた。
昨日の夕方「大潮でワカメの群生が見られ、写真が撮れます」との連絡で近くの船溜まりまで漁船で迎えに来てもらった。
ライフジャケットを着こんで漁船に。まさしく春の海、鏡のようなベタ凪を滑るように移動すること10分。普段はクルマから眺める海の景色をこのときばかりは、混雑する道路を海から悠然と眺めて海藻生える現場へ。
磯焼け現象によってアマモが激減。海に生える草が生息しないので海底が砂場状態になっている
文献をあさったり広く知恵を拝借してたどり着いた「使い切りカイロ」の内容物酸化鉄。海藻生育に効果があるという。
作業開始から2年3年とするうちにその効果が表れ始めた。ご覧の通り、岩礁にも海底にも豊富なワカメがごっそり。
私たちの活動の理念の一つ「山を守り 川をきれいに 海を豊かに」。早い話がふるさとの海を守ろうよという呼びかけ。一つは漂着物を除去する海岸清掃。地元住民や中学生高校生、漁協関係者、海上保安庁など幅広い一般参加者で広い砂浜が埋め尽くされる。
今ひとつが、使い捨てカイロを大量に集め、鉄粉を取り出して土嚢袋に詰め、波除けコンクリート塊の間に沈める。磯焼け復活活動である。
海を守るなどと途方もない大風呂敷を広げてはみたものの、自主財源もない、地元住民の善意の賛助会費でまかなう活動。お金を掛けずに何が出来るか。小さくてもいい、先ずはやってみること。人海戦術にも似た些細な活動ではあるが、やらなきゃ何も始まらない。当地区社会福祉協議会設立当初の会長さんの心意気である。それをひたすら愚直に私たちが引き継いでいるというお話。乗り掛かった舟。沈没させないように、後継者を養成することも大きな仕事の一つとしてこれからも、一歩一歩。美味しいワカメがどこでも取れる世になる日を夢見て。