監督 森一生
「濡れ髪三度笠」「浮かれ三度笠」に続く第三弾だとか
遠山金四郎と名前が似ているだけの金八郎(川崎敬三)は いい事では目立ったことがない勘定奉行方の役人だ
サラリーマンで言えば給料泥棒のような存在です
女に弱く武芸もからっきし・・・ダメです
そんな金八郎に降ってわいたような災難ーいえお役目が
美濃太田の金山代官の黒崎主膳(荒木忍)の不正摘発という大任
いや百パーセント無理だろうと見えるのですが
モテると自分を過信している女好き金八郎は早速 美人局にひっかかり 宿で「金を寄越せ」とならず者達に囲まれます
追われて隣室へ逃げ込み 旅鴉おさらば伝次に助けを求めると 折しも金勘定していた彼は 助ける為に金を寄越せと言います
翌日 助けられながらも 助けられた後は金が惜しくなった金八郎
少し金を返すようにとゴネ出します
伝次は荷物を持つならついて来てもいいと言い
サムライだぞとゴネるも金八郎 背に腹は変えられません
伝次の荷物持ちついて行きます
伝次が案内した賭場で せっかく大勝ちするのに金八郎
仇な流れのお艶(真城千都世)に勝負を挑まれ
「引き揚げるぞ」と伝次が誘うのに 鼻の下伸ばし勝負を受けて 有り金も着ている物も巻き上げられます
雨の中 褌一つで傘もなく賭場を追い出される金八郎
あれはイカサマ賽だ 色仕掛けのインチキだよと伝次に教えられます
何で先に教えてくれないと不平と文句ばかりの金八郎
なにしろ遠山金四郎に勝っているのは名前の八だけという御仁です
伝次に赤鬼一家の四天王が てめぇのお陰で親分が死んだ
助っ人の役目もしないでーと斬りかかって参ります
街道のダニなんぞいなくなってめでたいと返す伝次
家族のいない奴から料理してやると あっという間に四天王をやっつけます
金八郎は遠山金四郎の甥だと騙り 怖れいりさせます
伝次は いったん懐に入れたものは返さない主義
喧嘩の助っ人頼まれ金は貰っても仕事はしない
たかが五両に命は張れぬ
むささびのおせん(仁木田鶴子)の色香に迷う金八郎を 伝次連れ出し修羅場をよそに抜けます
次の宿場では祭りの様子
騙されたお艶を見かけ追いかける金八郎は 旅芸人の春駒一座の小屋へ入り 偽侍と騒がれ吊し上げられます
まぁ誤解は解けたものの一座率いる春駒太夫(山田五十鈴)や一座の花形投げ刃のお鈴(浦路洋子)から信用されている伝次に比べ
本当にモテるのは どちらやら
土地の顔役うわばみの伝右ェ門がお鈴にちょっかいかけ嫌がらせしていると聞き モテたい一心で金八郎は あの遠山金四郎の甥と名乗り 掛け合います
伝次から教えられた俄か仕込みの啖呵の切り方やハッタリのきかせかたで やくざらを恐れ入れさせ 賄賂までもらいいい調子
更に賭場では因縁のお艶に遭遇
さしの勝負で またすっからかんにされますが 賭場の壺振りが お艶の賽のすり替えを見抜きます
勝ち誇る金八郎ながら 出くわした人間に騙りを暴かれ 簀巻きにして海へ捨てられます
助けに向かう伝次を人斬り浪人加えた赤鬼四天王が襲います
意外にも金八郎はお艶に助けられますが 調子に乗ったものだから またもや海に落とされます
「泳げないんだ~」と騒ぐ金八郎見て 笑う伝次
いやはや 手のかかりすぎる男です
懲りないわ恩知らずだわ すぐに意味なく威張るわ 金八郎 実に困った男です
うわばみ一家は春駒一座のいる小屋へ押しかけお鈴を連れ出そうとするも 一座の人間達も座布団やある道具投げ反撃します
理由あり美濃太田へ向かう伝次と金八郎は春駒一座と旅しています
「黄色いさくらんぼ」を歌うスリーキャッツ お色気たっぷりな歌声です
「黄色いさくらんぼ」は後年ゴールデン・ハーフが歌ってリバイバル・ヒットしました
ゴールデン・ハーフ 人気ありました
さて女好き金八郎 またもおせんに連れ出され 黒崎の手下 大沼軍蔵らに襲われますが 伝次に助けられます
東海道から美濃路に入り 目的地も近付いてまいりました
金八郎から美濃へ向かう目的を聞いた伝次は自分の身の上話もします
彼が何につけても金という やたら貯め込む生き方には理由がありました
十六年前 生き別れになった妹を見つけ出し 妹を幸せにする為に稼ぎ続けてきたのです
話を聞いたお鈴は 妹を思う伝次の心根に泣いてしまいます
金八郎は代官所へ乗り込み お役目を果たそうとします
おせんから金八郎は女好きと聞いた黒崎一味は 集めた娘で金八郎を懐柔しようとするのですがーイマイチ成果があがりません
伝次は春駒一座の伝手で分かった妹お妙がいるという店を訪ねました
因業な女将のおげんから 大金目当てにお妙のふりをするように言い含められていたおそよですが 妹お妙を思う伝次の深い心に 偽り続けられなくなり
ちょっと待ってくれるように言いー部屋を出て 持ってきたのは・・・お妙の位牌でした
お妙は「いつか迎えに来てくれる兄さんに綺麗な体で会いたい」と 迫る代官を拒み続けた為に女将にいじめられ病気になり死んでしまいました
本当の事を話したおそよを女将は叱ります
儲け話をふいにして
春駒一座のもとへ戻ったものの 妹お妙を看取ってくれた優しいおそよの事が伝次は気にかかります
好色なー色餓鬼達に体を玩具にされて浮かぶことなく終わる一生か
妹の代わりにおそよを身受けし自由の身にしてやろうと 伝次は店へ向かいます
黒崎は 金八郎がただ一人 興味惹かれたらしいおそよを人身御供に差し出しました
店を出ながら あの器量おまけに生娘 わしがどうにかしたいくらいよ
大金はかかったが これで我が身は安泰と 配下の者達と笑い合っています
それを聞いた伝次 金八郎とおそよがいる座敷へ
金八郎は嫌がるおそよをどうにかしようと迫っていました
全くコイツどうしようもありません(笑)
こと分けて話す伝次にも我欲色欲むき出しに醜く逆らい とうとう伝次に「お前のような奴はー」と しこたま殴られます
人の倫 外れたような事ばかりに執着する阿呆は 島流しにしてやれ!とも思いますが そんな人間を流されてきた島の住民も迷惑ですよね
因業女将が手下連れ座敷へ上がりこみ
その娘には大金かかっているんだ
どうしてくれるとかさにかかります
妹の為に貯め込んだ三百両
伝次は女将達に投げつけます
おそよは呆然
女将や手下は浅ましく金を拾い集めます
気の抜けたようになっていた金八郎も座敷を離れました
さても懲りない金八郎は 代官の隠し金の在処を知っているというおせんに誘い出され 案内された蔵に閉じ込められ火をかけられます
焼き殺すことには流石に罪の意識を感じたおせん
代官一味に追われ 助けを求めて走ります
出くわしたのが伝次
救出へ向かう伝次に赤鬼四天王達しつこく斬りかかって参ります
ああ面倒くさい
代官一味もまとめて退治し 蔵の中でバタバタしているだけの金八郎を救い出します
金八郎は建具の陰の伝次の助けを借りて 代官に罪状言い渡します
因業女将も裁かれます
どうにかカタつき めでたし めでたし
おそよは春駒太夫が面倒見てくれることになりました
春駒太夫はお鈴の婿になって欲しいと伝次に言ったのですが 気ままな旅鴉の伝次 断ってしまいました
春駒一座と別れて江戸へ向かう伝次は再び金八郎と道連れに
もう金輪際 女は懲りたと話す金八郎
ところがおせんが追いかけて来ます
わたしを江戸へ連れて行ってくれると言ったじゃないの
伝次 お金と引き換えに金八郎とおせんと一緒の旅を受け入れ 先に街道を行きます
金八郎 おせんを呼びよせ ー嬉しそうに おせんが駆けてきます
この先 どうなるか分かりませんが 取り敢えずー天下太平です
映画 おしまい
映画の宣伝文句は
喧嘩に強い貯金やくざ
女に弱い文無し侍
売られた喧嘩で皮算用
すがる恋風 胸算用
これは呆れた喧嘩旅
お妙役の美保純子さんも おそよ役の女優さんも美しい方です
旅の一座率いる女太夫役の山田五十鈴さん まだまだ瑞々しさをたたえております
後年 必殺シリーズでも旅芸人の一座を率いる役を演じておられましたっけ
あれこれ思いつつ
でね 映画はローカル局でサンテレビの燦々午後の時代劇という枠で放送されたのですが ―終わりに入るのが
サンテレビの局キャラ おっさんテレビの黄色いのが馬に乗ってパッカパカ
すみません ちょっとイラッとします(^_^;)
川崎敬三さんは後年 昼のワイドショーの司会もされていました
事件レポーターとして女優・小林千登勢さんのご主人で俳優の山本耕一さんが言う「そうなんですよ」「A地点からB地点まで」は ザ・ぼんちの歌の歌詞にも使われ 漫才ブームの頃 ヒットしました