原作 柴田錬三郎
徳川家光は男色に耽り女性に興味を持たず 乳母の春日局(花柳小菊)は 若衆姿が似合いそうな武芸に秀でた容色も麗しい女性 遠藤由利(大川恵子)を側室に上げようとする
興味を持たせるために御前試合に出すことにする
さきがけてふた昔前の時代 性別も定かでない「影」と呼ばれる凄腕の忍びがいた
若き服部半蔵(近衛十四郎)は ふとしたことから影(木暮実千代)が女性と知り・・・・その魅力に抗えず力でねじ伏せる
影は・・・子供を産み 母影となり 子供は「若影」(大川橋蔵)と呼ばれるようになる
彼らは薄布で顔を包み 目ばかりしか外からはうかがえぬ
原作小説によれば非常な鍛錬を積み ある目的のために若影は厳しく育てられた
東映では少しウエットな味付けが・・脚色がなされている
母影は石田三成の血を引く人間という設定とか
御前試合の勝者には将軍家から 刀の拝領
その無銘の刀の中に・・・三成が隠した財宝につながる手掛かりがあり 母影には刺青もある
尾張の柳生新太郎(里見浩太郎)は試合に負けるが その器量・腕を柳生宗矩(大河内伝次郎)も惜しんだ
柳生十兵衛(大友柳太郎)も同じく惜しみ声をかけ 拝領の刀を渡そうとするが 新太郎は武者修行の末 いつか互角に戦えるようになれば戻ってくるーと明るく旅立つ
十兵衛に見事な若者よーと感嘆の気持ちを残して
若影はふとしたことで姿を見た由利に惹かれていた
由利もまた凛々しい若影の姿に胸ときめかせていた
影母子は大道芸人として水野十郎左衛門(平幹二郎)に興味抱かれ屋敷に招かれていた
その市井の人としての姿の若影は 颯爽たる美男
御前試合の勝者が拝領の剣の先を 影母子は奪い続けるも 目当ての刀にはなかなか行き会えぬ
そのことは評判となり警戒されてもいる
十兵衛の剣を狙う若影は手傷負いつつ見事にその切っ先は奪い持ち帰る
そして由利の部屋にも忍ぶが 花の如く匂やかな美しさに若影の心は燃え 肌に手をかけ 由利に乞われ 顔も見せる
由利は慕う男に自ら 身を投げるが 警戒し見回り中の服部半蔵の気配が迫り
若影は「その身を囮にしたか」と 由利に残酷な言葉を投げる
半蔵は若影の姿に忘れられない女性「影」の面影を見る
攻撃の手も緩む 由利が若影に差し出した刀は 奪い返すものの半蔵は 若影に止めをさすことができない
徳川の碌を食む服部半蔵とは敵対する影・・・・・母影は積年忘れらない女性だった
若影とは もしや?!
春日局から 家光の側室となるよう言われている由利は 若影が再度 刀を奪いに来るときを ひたすら待つ
現れた若影に連れていってほしいと縋る
母影と由利の刀を見れば これこそ探していた刀
その景色近くの場所で育った由利は 刀が示す場所を言い当て 母影の刺青とあわせ 若影は埋蔵金のある場所を推理する
半蔵は母影と再会 何故に身を任せたか問う 何故自分であったのか母影の腕なら自分を殺しても逃げられたはずが
互いに戦えずいる男と女 その時は若影がターザンのように木にかけた綱で母を抱えて姿を消した
仇と将軍の命を狙う若影の最後の戦い
ならば半蔵は命をかけて うえ様を守らねばならない
他の武士達は切り伏せた若影の前に現れる半蔵
これが息子と思う半蔵は・・・切っ先も鈍る
半蔵と母影の会話から 自分が 母親が通りすがりの名も無き男に乱暴されたのではなく むしろ母が選び望んで好きな男・半蔵に抱かれたのだと それでできた子供なのだと知る若影
母者も女性であったかー
それでも止めをさそうとする若影を 母影は止める
膠着した状態を 救うは十兵衛
十兵衛の言葉に 若影 母影 由利ら三人は何処かへと去る
名残惜しげになかなか離れようとしない母影 若影に呼ばれ ようやく去っていく
十兵衛は若影の技量に武芸者としての好感を抱いていた
忍術者として・・・・
半蔵の胸には・・・離れて生きるしかない定めが重い
原作小説より はるかに甘いラストです
でも これはこれ 大甘だけど 嫌いではありません
ドライ・クールな時代劇も好きですが 夢のある時代劇もまた これやよし♪と思うので
大友柳太郎さんがいて 里見浩太郎さんがいて 大川橋蔵さんがいて 近衛十四郎さんがいる
もう それだけで・・・いいんです・笑