ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

入学式の一日

2010-04-06 20:30:27 | 「育」業
新学期を迎えた。
小学校でも、新しい職員の着任式が行なわれ、引き続き始業式が行われた。
そして、次の日は入学式と続いた。
新入生の一人が、体育館の入場直前になって、心細くなったのか、泣き始めた。
「お母さーん、お母さーん。」
わんわん泣いていては、とても入場できない。
急きょ体育館の保護者席からお母さんを呼んでもらう。
お母さんから少し落ち着かせてもらい、手をつないでお母さんに付き添ってもらっての入場となった。
何が起こるのかわからないのが、こういう時。
あらかじめ、職員には、「何が起こるか分からないから、臨機応変にいきましょう。」とは言ってあったが、やはり起こるものだ。

それでも、終わってみれば、無事に終わった、という気持ちになれた。

終わってから次に気になったのは、午後にある、中学校の入学式のこと。
あの「午後、たった一人の卒業式」を行ったA女は、中学校の入学式に出席できるだろうか?
卒業式後、2週間。
ずっとそのことが気になっていた。

午後になり、中学校の入学式に出席した。
案内にしたがって歩いていくと、体育館につながる廊下に、新入生たちが、並んで出番を待っていた。
中学校でも指導したのだろう、そばを通る私たちに、「こんにちは」「こんにちは」と、声をかけてくる新入生たち。
数週間前まではかかわっていた子どもたち、知っている子どもたちを見つけては、「おめでとう、おめでとう」と言いながら、ほほえむ私。
その中に、
いた。
いた。
A女がいた。
思わず握ったこぶしを、そっと彼女に突き出すと、彼女もこぶしを出して合わせてくれた。
よかった―。
一つ乗り越えたんだね。
おめでとう。
本当におめでとう。

入学式場でも、新しい担任の呼名に「ハイ」と短くしっかり答えていたA女。
文字通り新しいスタートだね。
がんばれよ、自分なりでいいから。
新しい制服に身を包まれた姿を離れたところで見ながら、心の中でそんな言葉をかけていた。
コメント
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