アルビレックス新潟、松橋監督退団。
また新しい監督の下でのサッカーになるなあ。
噂では、2003年、初めてのJ1昇格を決めたあの決勝ゴールを決めた「あの選手」が監督となって帰ってくるのでは…などという噂もある。
だけど、まあ噂は噂、誰が来るのかは今後のお楽しみ。ということにしておこう。
誰が来ても、監督は大変だね。
勝って当たり前、負けるとボロクソに言われるからね。
今回読んだのは、2003年当時アルビレックス新潟の監督だった反町康治氏の著書。
その名も「サッカーを語ろう」だ。
副題に、「~日本サッカー協会技術委員長 1457日の記録~」とついている。
反町氏が日本サッカー協会の技術委員長をしていたのは知っていたが、その日本サッカー協会のWebサイトでコラムを連載していたことは知らなかった。
本書は、2020年4月からの在任4年間に反町氏が書いた36回のコラムを、テーマごとに分けて章としてまとめたものだ。
第1章 技術委員会について語ろう
第2章 日本代表を語ろう
第3章 育成について語ろう
第4章 指導者養成を語ろう
第5章 サッカーとの関わりを語ろう
…となっていて、最後に反町氏と中村憲剛との特別対談「今一度、サッカーを語り合おう」が入っている。
技術委員長と聞くと、その仕事は日本代表を強くするための仕事かと思っていたら、そんな単純な仕事ではなかった。
現在から未来にかけて、日本を強くするための仕事をしていたのだった。
読んでみて、反町氏の誠実で真剣な仕事ぶりがよくわかる本であった。
誠実で真剣なのは、章の並べ方からも分かる。
最初に、技術委員や技術委員長の仕事はどういうものかについて語っている。
そして、そこから、読者が関心を持っている日本代表のこと。
そして次世代の選手を育成するためのこと。
選手を育成するためにはしっかりした指導者を養成する必要があり、どうしたらよいか、どうしているかということ。
そして、最後には、自分がサッカーに興味をもってきたことや、影響を受けた人のことなどを語っている。
特に、オシム氏のことは詳しく書いてあり、反町氏の感じた悲しみから、改めてオシム氏が日本のサッカーに与えた影響は大きかったことが伝わってきた。
こうして書かれている全てを読み終えて、代表のことだけでなく、日本が強くなるために今しなくてはいけないことを真剣に考えて真摯に取り組んでいたことがよく分かった。
だから、指導者の養成にも話が及んでいるのだが、若くから監督をする人が日本には出ないことから、どうすべきか考えたり策を打ったりしていることも知り、へえ~と感心したりした。
ただでさえ技術委員長と「長」の付く仕事で大変だろうに、反町氏の在任期間中は、COVID-19感染症の世界的流行期間と同時期であった。
だから、いろいろなことでそれが障害となっていたこともよくわかった。
そのような出来事があっても、前に進めなくてはいけないことがある。
あまり影響がないと思われる指導者養成だってそうだった。
新潟人としては、アルビレックス新潟の監督としてチームを指揮していたときのことがもっと書いてあるとうれしかったのだが、そうなると本筋から外れてしまうから、それは仕方ないか。
でも、湘南や松本を率いていたとき、監督として対戦相手にどれだけ時間をかけていたかにふれていたが、それは新潟の監督時代もきっと同じであっただろう。
そのような人物に率いられていたから、反町氏の監督在任時代は、強いとは言えなくても新潟が残留争いに巻き込まれることがなかったのだろう。
いずれにせよ、責任のある役職についたからには、しっかりしたビジョンをもち、情熱と責任をもって、やり遂げる強い意志が必要だということだ。
そのことを改めて思い知るような本だった。