新潟シティマラソン。
しっかりスタートラインに立った。
しかし、ゴールラインを通過できなかった。
30kmで、時間制限に引っ掛かり、走るのをやめさせられた。
…と言えば、いくらかは格好がつく。
しかし、悔しい悔しい途中棄権となってしまった。
もともと、予定は、20kmだった。
正確に言うと、今年中にハーフマラソンの距離を走りたいと思っていたので、22kmは通過するのがとりあえずの目標だった。
だから、それはクリアしたのだが…。
スタートラインには立ったが、不安は3つあった。
① 新潟市体育館のトイレの水が流れなくなったので、「大」を使用できず、腹具合が微妙におかしいままだったこと。
② 手荷物預かり所の手際の悪さと人手不足で、荷物を預けるのに30分近くかかり、ウォームアップがしっかりできなかったこと。
③ 2日前に山登りをしなくてはいけなかったせいで、まだ足の上がりがよくないのだが、まだ走ったことがない16km以上の距離に挑戦するということ。
うだうだ考えても仕方がないので、なんとかなるだろうと腹をくくった。
8時30分。
新潟市長の鳴らす号砲の合図で、一斉に出発。
…のはずが、なかなかスタートラインにたどり着かない。
さすが、1万人の参加者。
自分の前に並んだ人が多すぎる。
10kmもフルマラソンも同時スタートだから、人が動かない。
スタートラインにたどり着いたのは、およそ4分後だった。
街に走り出たのはいいが、目の前を走る人が多い。
なかなか走りやすいペースで走れない。
でも、その方が、長続きするペースのはずだ。
そう思いながら、柾谷小路、萬代橋、新潟県庁、千歳大橋と行く。
ここまで、1kmを5分強から6分強で走れている。
いい調子だ。
県庁付近で、10km種目とはコースが別れる。
やがて、関屋分水堤の10km地点を、とりあえず1時間は切ったタイムで通り過ぎることができた。
ここから、海岸沿いの道になる。
ただただ果てなく(果てはあるけど)砂浜の中のアスファルトの道を進む。
ここで、自分の体に異変が。
急に足が前に伸びなくなった。
まだ15kmに達しないうちに、1位の選手が折り返して走って来た。
すばらしいスピード感だ。
それにひきかえ、こちらは、1kmを7分以上かかるようになってしまった。
給水所で、スポーツドリンク、水、バナナ、オレンジ、塩飴と、何にでも手を伸ばし、口にした。
脚はさらにおかしくなった。
膝から上のところが、ヒクヒクしている。
しかも、両脚だ。
それでも、折返し点に達した。
2時間17分。
中間点あたりに、チェックポイントがあった。
まだ2時間20分ぐらい。
本来、このくらいなら、倍にしても5時間にはならない。
フルで5時間の時間制限には、ゆうゆう間に合うはずだ。
しかし、両脚の太もも、膝の上あたりがまともじゃない。
完全に疲れていて、力を入れると、痙攣する。
だから、走るのをやめる。
時折、ふくらはぎも、ツンとした痛みが来て、つりそうになる。
仕方なく、走るのをやめて、歩く。
その繰り返し。
後ろから来た人々に、次々と抜かれて行く。
25kmで、2時間46分。
もう走れなくなった。
救護所で、他のランナーたちがしているように、スプレーを借りて脚に吹き付ける。
だが、すぐにまた脚の痙攣が始まる。
だめだ。
悔しいが、もう走れない。
あとは、歩くしかない。
最低限度の目標、20kmは達成した。
行けるところまで、いや30km地点まで歩こう。
道端で応援する人たちは、「がんばれ!」と声をかけてくれる。
とてもうれしいのだが、脚がいうことをきかない。
28kmの手前で、「5時間ペース」の目安を示す大会関係者が、私を抜き去って走って行った。
ついに、抜かれてしまった。
だが、もう関係ない。
自分の今の目標は、完走ではなく、30km地点にたどり着くこと。
周囲にも、歩く人が多くなってきた。
不思議なもので、歩くことならできる。
ただ、走り出すと、両脚の筋肉が悲鳴を上げる。
限界だ。
25kmから30kmは、ほとんど歩きだった。
この5kmの所要時間は、なんと52分。
脚が元気だった序盤は、30分かからずに、20数分で走れていたのに。
とうとう、30.2kmの関門で、3分足らずに、時間制限にひっかかった。
走ることをやめさせられて、バスに「強制収容」された。
ここだって、少しでも走れれば、制限にわずか3分くらい届かないことはなかったのだろうけど。
でも、自分としては、もう走れず、前半の貯金だけでたどり着いた30kmだった。
8kmも歩いてたどり着いた30kmだった。
よしとしよう。
ただし、50歳以上で走り切れた人は何人もいた。
同様に、18~39歳の人々でも、「強制収容」された人だって、何人もいた。
何が違うのだろう?
どこをどう鍛えればよいのだろう?
そのあたりをさらに検討しながら、50歳代でもう一度フルマラソンに挑戦してみたい。
ぎりぎりであったが、ハーフマラソンの距離は走り通せることがわかったのだから。