ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

本屋、子どもの頃の体験話

2011-10-17 22:32:44 | 生き方
つい先日、本屋のことを書いた。
本屋については、子どもの頃には、こんな思い出もある。

小学5年生の頃、私は、毎月発行される漫画雑誌を楽しみにしていた。
自分の住む集落には本屋がない。
最も近い本屋は約2.5km離れた少し大きな集落にあった。
毎月、発売日になると、漫画雑誌を買うために、往復5kmの砂利道を歩いていくのだった。

その月も、財布の中には230円あると確認し、小学1年生の弟と二人で定価220円の雑誌を買いに出かけた。
汗をふきふきようやく本屋にたどり着いた。
「あった。」
1冊残っていた目的の雑誌、今月号を買おうとしたが、本屋のおばさんは言った。
「今月号は、240円だから、220円じゃ買えないよ。」
「え?240円?」
雑誌の裏表紙の片隅に、「特価240円」と赤い字で書いてあった。
そんな。
いつも、特価であっても230円と、定価より10円高いだけですむのに…。
改めて財布の中を見ると、233円あった。
でも、7円不足だ。
それを話したが、おばさんは、「まけてあげる訳にはいかないね。」と言うのだった。
仕方がない。
「家にお金を取りに行って来ます。財布と弟を置いていくので、この本とっておいてください。」
そう言って、家までの道のりを往復することにした。

うかうかしていると、帰りが遅くなり、真っ暗になってしまう。
だから、砂利道を走りに走って家を目指した。
家にたどり着くと、自分の貯金箱(十円玉や一円玉が数枚入っているだけだったが)から、十円玉1枚を取り出し、それを握って再び本屋へと走ったのである。

往復5km余り。
体は汗びっしょりになり、手のひらの汗がじっとりとにじんだ十円玉を本屋のおばさんに差し出し、ようやく望んでいた雑誌の今月号を手に入れることができた。
待っていた弟は、マンガを見て時間をつぶしていた。
無邪気な顔をした弟と、苦労して手に入れたマンガ雑誌をかかえ、さっき走って往復した道をもう一度とぼとぼと歩いて帰ったのだった。
 
子どもの頃のこんな経験があるせいか、1円や2円でもすごく大切だと今も思う。
また、自分が金を出して買った物は、簡単には捨てられないのである。
コメント
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