ON  MY  WAY

60代になっても、迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされながら、生きている日々を綴ります。

恩師に会いに行く

2017-11-08 22:37:51 | ひと
35年前に定年を迎えた、と言うと、その方は95歳ということになる。
その年齢は、長寿社会となった今では珍しくはなくなっているかもしれない。
だが、自分の小学校時代、それも低学年時代の恩師が今もお元気な姿に会えた、となるとなかなかないことかもしれない。
私の住むところから数kmしか離れていないところに、その恩師である女性が住まいを替えたということは、数年前に知っていた。
行先は、高齢者向けの住宅である。
一度行かなくては、と思っていた。
だが、退職前のあわただしさで今一つ会いに行く決心がつかないでいたら、退職後はなんだか行きづらくなってしまっていた。
そんな気持ちに踏ん切りをつけ、先日訪ねて来た。
玄関であいさつの声を出すと、そこで働いている女性が部屋へ案内してくれた。
住宅と言っても、そこは、病院の個室と同じと感じた。
座っている場所はベッドの上だし、トイレや流しもあるし、テレビもある。
中へ入れてもらうと、恩師は喜んでくれた。
こんな私だが、数年前まで会っていたせいか、私の顔をみると、すぐに名前(苗字)を呼んでくれた。
今年の7月にあった小学校の同級会の集合写真を持って行って、恩師に見てもらった。
そして、一人一人の名前を照合していった。もう50年以上前だったせいもあり、すぐには思い出せない存在の人もいた。
だが、私が、昔の屋号と共に名前を言っていくと、ほとんどの人を思い出すことができた。
まだまだ恩師の記憶力は健在だ、と思った。
それだけでなく、今は、新聞で興味のある記事は切り取ってノートにスクラップしているのを見せてくれた。
「最近の言葉は全然わからなくて。」と言いながら、ノートには「AI(人工知能)」などと書いてあった。
こうして頭を使っていることがよいのだろう。
歯も、ほとんどが残っていると言う。
たしかに微笑む口元の歯は、入れ歯とは違っていた。
1時間もいてしまったが、最後に二人で写真を撮り、今度その写真を持ってきます、と約束して、辞去した。
恩師は、玄関までの長い通路を、手押し車を押して一緒に進み、玄関まで見送ってくれた。
いつまでもお元気でいてほしい。
また、今度は写真を届けに行かなくては、とそう思った。
コメント
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