ON  MY  WAY

60代を迷えるキツネのような男が走ります。スポーツや草花や人の姿にいやされ生きる日々を綴ります(コメント表示承認制です)

「いつの空にも星が出ていた」(佐藤多佳子著;講談社)

2025-02-03 22:06:03 | 読む

今月になり、プロ野球の各チームがキャンプ・イン。

テレビのニュースで流れていたので一番多いのが、去年日本一になった横浜DeNAベイスターズ。

去年は、セントラルリーグの3位だったのに、2位の阪神タイガースも、優勝した巨人をも打ち負かして、日本シリーズに進出してしまった。

それだけではなく、日本シリーズでも波に乗って、パシフィックリーグで圧倒的な勝率を誇ったソフトバンクホークスを撃破した。

「下剋上」と言われる優勝だった。

前年度日本一のチームだから、注目度も高い。

去年は、そこまで強かったチームだけど、実は、セントラルリーグ6チームの中で、最も優勝回数の少ないチームなのだ。

 

だけど、面白いことに、セリーグでの優勝回数は2回しかないのに、日本一の回数が3回とは。

これは、去年のクライマックスシリーズに勝ったうえでの日本シリーズ優勝ということだ。

勢いに乗ると強いということなのかな。

私の好きな阪神タイガースよりも、日本一の回数は多いじゃないか。(阪神2回、横浜3回ですけどね)

タイガースも熱狂的なファンが多いけど、去年はベイスターズファンもなかなかだな、と思ったよ。

 

今回借りた本は、「一瞬の風になれ」を書いた佐藤多佳子氏の「いつの空にも星が出ていた」(講談社)という一冊。

佐藤多佳子氏の他の作品はまだ読んだことがなかったので、これを借りてみようかと手に取ったのだった。

 

あとで調べてみたら、発行元の講談社は、本書について次のような内容紹介をしていた。

 

うれしい日も、つらい日も、この声援と生きていく―。

 

本屋大賞受賞作家、40年の想いの結晶。

大洋ホエールズからDeNAベイスターズへ。

時を超えてつながる横浜ファンの熱い人生が胸を打つ感動作。

 

さえない高校教師。未来を探して揺らぐ十代のカップル。奇妙な同居生活を送る正反対の性格の青年たち。コックの父と少年野球に燃える息子。彼らをつなぐのは、ベイスターズを愛する熱烈な思いだった! 本屋大賞受賞作家が、横浜ファンたちの様々な人生を描き、何かに夢中になる全ての人に贈る感動の小説集。

 

…ということだったが、そんな内容まで知らずに本書を読み始めた私だった。

本書は、

「レフトスタンド」「パレード」「ストラックアウト」「ダブルヘッダー」

の4つの話で構成されていた。

これが、過去から時代を追って現代に近づいてくる。

しかも、大洋ホエールズ時代から、横浜ベイスターズ、DeNA横浜ベイスターズという変遷だ。

でも、それぞれの話に出てくる中心的な登場人物は、皆その当時の横浜ファンなのだ。

 

「レフトスタンド」の話は、1984年当時の弱小チーム。

出てくるのは、さえない高校の先生と、さえない囲碁同好会の高校生。

「パレード」は、1998年の優勝の頃。

主人公は、高校生時代から社会人1年生の女性とその相手。

「ストラックアウト」は、2010年の頃の再び弱かった頃。

主人公は、小規模電気店に勤める若者男性。

「ダブルヘッダー」は、2016~17年のころで、17年に初めて下剋上を果たして日本シリーズに出たときのベイスターズが出てくる。

ここの主人公は、小学4~5年生の野球少年。

 

それぞれに、熱狂的な横浜ファンなのだが、彼らの人生とその当時のチームの戦いぶりが交錯する。

それぞれの人物に起こるできごとや事件とベイスターズの試合が並行して描かれることが迫真性を増す。

その当時の印象的な試合のシーンももちろん多い。

その頃活躍した選手の名前が出てくると、とても懐かしい。

遠藤、川村、戸叶、石井琢朗、鈴木尚典、佐々木、三浦(現監督)、木塚、山﨑、今永、濱口、筒香…、それぞれの時代で輝いた選手たちの名前が続々出てくる。

 

阪神タイガースファンの私だが、とても楽しく読めた。

本書が出版されたのは、2020年10月。

だから、もちろん昨年のベイスターズの日本一は扱われていない。

でも、本書のような過去があったからこそ、熱心なファンは、去年の優勝がより一層うれしかったはず。

「いつの空にも星が出ていた」の星とは、ベイスターズから来ていたのだと、途中でやっと気づいたよ。

ベイスターズファンなら、必読の一冊だな、この本。

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