「プロテストソング」。
そういう書名の本が、谷川俊太郎、小室等の共著で、5年前に出ているのを知った。
その本を取り寄せて、読んでみた。
私が学生だった頃、小室氏の歌には、谷川氏の詩に曲をつけ歌っていたものが多かった。
1978年には、小室氏は共作アルバムとして「プロテストソング」を出していた。
その中には、「汽車と川」「一匹のカニ」「なんにもしたくない」などがあった。
「汽車と川」や「一匹のカニ」は、私も気に入って、何度も聞いたものだった。
あの頃は、それらのほか谷川氏の詩「生きるということ」をもとにした「いま生きているということ」という曲がよく歌われ、小室氏の代表的な曲となったのだった。
今回、この「プロテストソング」を読んでみると、2017年に「プロテストソング2」というアルバムがリリースされていたことが分かった。
本書は、
① その2枚のアルバムに入った曲の詩集
② それらの全曲の楽譜集
③ 谷川氏と小室氏の対談
という、3つの構成でできている。
前々回に載せた「すきになると」という詩も、本書に掲載されていたものである。
それは、「プロテストソング2」に入っていたものだから、今まで知らなかった。
「2」の方にあった13編の詩は、今まで読んだことのないものだったから、新鮮だった。
「プロテストソング」と言いながら、「すきになると」とか「汽車と川」などは、どこがどうしてプロテストソングなのだろう、などと思ったりする。
プロテストソングというと、世の中の不条理に対して何か強い姿勢に出て訴えるような歌、という気がするのだが、谷川氏の詩には、そのようなあてつけがましさ(?)は、感じられない。
さらっとしているのだが、深く感じさせるものが多い。
対談でも、熱の入った議論をするわけでもなく、淡々と話す二人の様子が伝わってくる。
「すきになると」
「こどもとおとな」
「死んだ男の残したものは」
「おしっこ」
…などの心に残る詩を繰り返し読んでいたら、これらの詩に、小室氏がどんな曲を付けたのか、知りたくなった。
Amazonで調べて、CD「プロテストソング2」の購入ボタンをポチッと押してしまった。
今後、じっくり聴いてみよう。