昨日、久々に走りに出た。
走りながら、いつも道沿いの野草の花見を楽しむのだ。
だが、当然普通の家の庭に咲いている花たちも目に入ってくる。
昨日は、走りながらあちこちで子どものころによく見ていた花たちをよく見かけ、自分が住んでいた家の庭にも咲いていたことを思い出した。
昔の家の様子を思い出し、なんだか妙に懐かしくなってしまった。
ナデシコの花。
ピンクの花びらに、中央に丸を描くように見られる模様。
子どものころは、可愛いと思いながら、その匂いがかなり強く感じたものだった。
昔の家の南の部屋の窓下に咲いていたっけなあ。
今や各地で旺盛に繁殖しているのを見かける明るく、濃い黄色い花。
昔の家では、表の道路のそばに咲いていた。
名前がずうっとわからないままでいたが、40代半ばを過ぎたころに、その名前を覚えた。
オオキンケイギクという。
子どものころは、この茎を折ると草の汁がたれてきて、その匂いが好きではなかったのを思い出す。
これまた野生化しているが、その名前は、子どものころの少女漫画雑誌と同じ。
マーガレット。
家の庭の東南に咲いていた。
花びらがたくさんあるけれども、花びらの先端が、ナデシコやオオキンケイギクと違ってギザギザしていなくて丸いから、子どもにとっては、絵に描きやすかった花だった。
そして、アヤメ。
あの頃、家にあった小さな池。
父が地面の土を掘って、「水」という字の形にしてコンクリートを塗り固めて池を作ったのだった。
その最も手前の右側にアヤメを植えていたのだった。
走りながら見かける花々。
こんなふうに思い出して走っていたら、道端の野草にも、昔、家のそばでよく見かけていたものがあった。
マンテマ。
ムシトリナデシコ。
コバンソウ。
みんなみんな、子どものころになじみのあった植物ばかり。
走りながらだったから、いろいろな場所でこれらの植物や花を見ることができたけど、子どものころはわが家にいるだけで、これらのすべてを見ていたのだった。
子どものころ、自分が育ったわが家のことを思い出すのに十分だった。
60年も前に当たり前に見ていた植物、花たち。
あの頃、子どもの自分を見守ってくれていたようにも思えてきたのだった。