麒麟がくる
第十六回 大きな国
「敵は…、 高政様」
こういうことと相成りました
十兵衛、悩んで悩んで悩み切って、導いた答えです
決め手になったことは、何だったのか
あんなこと、こんなことがありましたが、
*十兵衛にとって道三は、紛れもなく、親方様だから
*以前、高政に願いを叶えてもらうため、これから先ずっと、
高政の言う通りにする、と約束してしまった
これは、違う、全く逆
*明智家の光安、左馬之助、足軽五十人は
道三のいる城に出陣していった
光安さんの覚悟は、堅かった…
可愛がっていた小鳥を逃がしましたね…
*妻の煕子も、覚悟をしていると
あとは十兵衛の心のままに、従うと言った
強い女性ですね
*そして、決定的だったのは、きっと道三の言葉
「油売りだった父が、
美濃も尾張もない大きな国となれば、手出しは出来ないと、
言っていた
父は一代で成し遂げられず、
わしも出来なかった、美濃一国で終わった
しかし、あの信長という男は面白いぞ
あの男から、目を離すな
信長のようになれば、そなたにも(大きな国をつくることが)
やれるかもしれぬ
誰も手出しの出来ぬ大きな国を造るのじゃ
さらばじゃ」
十兵衛は鉄砲を手に取り、前に道三が言っていたことも
思い出した
鉄砲のことを調べたくて、堺に行かせてもらった時、
堺の様子を見て、美濃もあのような豊かな国になりたい
と道三に伝えたことがあった
それを聞いた道三は
「その気持ちを忘れるな」
と言ったのだった
十兵衛は思った
大きな国を、自分の手で造りたい
鎧を着け、戦支度を整え、家来たちに出陣を告げた
「敵は…、 高政様」
十兵衛の人間形成への影響のその多くは
道三が与えていたのかもしれない