路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・05.06】:国スポ見直し論 財政負担減へ抜本改革を

2024-05-10 05:02:10 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリ、パラ、デフリンピック・国民スポーツ大会】

【社説・05.06】:国スポ見直し論 財政負担減へ抜本改革を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・05.06】:国スポ見直し論 財政負担減へ抜本改革を 

 都道府県の持ち回りで毎年開かれる国民スポーツ大会(旧国民体育大会)を巡り、多くの知事から在り方の見直しを求める意見が相次いでいる。開催経費の負担が重く、このまま続けるべきなのかという疑問、懸念はもっともだ。

 ただ、すぐに廃止すればいいとは思えない。近年は国民的関心が薄れているとはいえ、アスリートは大きな目標を奪われてしまう。2034年に2巡目の開催が終わる。3巡目を転機とすべきだ。財政負担とスポーツ活性化にどう折り合いをつけるか。時代に合った大会への改革が求められる。

 ■知事意見は割れる

 「廃止も一つの考え方ではないか」。全国知事会長の村井嘉浩宮城県知事の先月の記者会見での発言が、国スポ見直し論の口火を切った。これに呼応し、各地の知事が積極的に発言。危機感と改革意欲の高まりをうかがわせている。

 負担軽減を望む意見は「経費は何百億円の単位。それは県民の税金だ。抜本から議論を」(鳥取)や「国が予算を確保しなければ、今まで通りの開催は難しい」(岩手)など。2022年に開催した栃木県の経費総額は800億円超で、国の補助金は約4億5千万円だった。人口の少ない県ほど競技施設の整備費用、運営に携わる人的負担は重くのしかかる。

 一方で「廃止論」にくみしない意見がある。熊本県の木村敬知事は「安易に否定的に捉えるのは、スポーツを頑張る若者のためにも良くないのでは」と述べた。「多くの選手が目標にしている」(神奈川)という実情もある。国スポで頂点を目指す選手、競技団体の意向を軽んじてはならない。

 ■広域開催を視野に

 国体は日本スポーツ協会、文部科学省、開催地が共催し、1946年に始まった。スポーツに親しむ環境を全国に広げるとともに、競技の普及や強化につなげる狙いがある。今年の佐賀大会から「国スポ」に改称した。

 熊本県は60年に1巡目、99年に2巡目を開いた。会場として県民総合運動公園、アクアドーム熊本(いずれも熊本市)などの施設が県内各地に造られ、通称「国体道路」などインフラ整備も進んだ。国体後は県民のスポーツ拠点となり、競技人口の増加やレベルアップにつながった。

 熊本に限らず、持ち回り開催は一定の成果を上げたと言えるものの、今後は巨費を投じる妥当性が厳しく問われよう。全国高校総体のような複数県にまたがる「地域ブロック開催」に変えれば、既存の施設を有効活用できる。財政負担も当然減るはずだ。

 開催地が有力選手や指導者を集め、総合優勝を目指す慣例も改めていいのではないか。競技や選手によっては、国スポの位置付けが相対的に下がっている現状もあるようだ。実施競技、種目数を絞り込み、肥大化した大会をスリム化する視点が欠かせない。

 知事会は近く、都道府県アンケートを踏まえた提言をまとめ、スポーツ協会と見直し協議に入る。毎年開催の是非も含め、多角的に検討してもらいたい。

 ■大会の原点忘れず

 国スポはマイナス面ばかりではない。選手や役員のほか、応援などを含めると延べ数十万人規模が開催地を訪れ、一定の経済効果が見込める。住民がボランティアで運営を手伝ったり、選手を応援したり、地域でもてなしたりして交流を深める機会となる。スポーツを「する」「見る」「支える」それぞれの立場で、喜びを分かち合う貴重な大会である。

 その原点に立ち返るときだ。開催地の自治体と住民、選手を派遣する側を含め、みんなに望まれる国スポの「かたち」とは何か。存続か廃止かの二者択一ではなく、改革へ知恵を絞り、議論した先に理想の大会像が見えるだろう。

 元稿:熊本日日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月06日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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