町なかの梅があちこちでだいぶ花をつけ始めてゐるので、地元の梅林もそろそろかな、と思ひ出かけてみたが、
やはりここはまだ早かった。
この梅林の見頃は毎年二月下旬頃で、ときには三月にかかってゐたりする。
わかってはゐるのだが、つひ待ちきれず毎年この頃に出掛けてみて、「やはり……」となる。
今日はまだ二分咲き程度。
どうやら今年も、二月下旬に出直しのやうだ。
──と、また例年通りな噺になるかと思ひきや、思ひがけず“天体觀測”を経験す。
その二分咲き程度の梅を撮ろうとしてゐるところへ、向かうから中年の禿頭男が一人、その梅を見つけるなり直行すると、私がレンズを向けてゐるその前にスマホを持った手を伸ばし、遠慮會釈も無しに花を撮り出した。
その禿頭男の不躾ぶりもさることながら、私は間近で白昼に“満月”がのぼってゐるその現象に面喰らひ、「月は太陽の光りを受けて輝く」と云ふ天体の原理をそばで目撃してゐるにも拘ず、証拠の實況冩真を撮り損ねてしまったことを、返す返すも残念に思ふ。
「禍を転じて福となす」
「不快を転じて愉快となす」
今日の梅見はなかなか有意義だった。
では下旬に、再び出掛けてみよう。