迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

梅に“満月”。

2022-02-12 17:24:00 | 浮世見聞記
町なかの梅があちこちでだいぶ花をつけ始めてゐるので、地元の梅林もそろそろかな、と思ひ出かけてみたが、



やはりここはまだ早かった。



この梅林の見頃は毎年二月下旬頃で、ときには三月にかかってゐたりする。

わかってはゐるのだが、つひ待ちきれず毎年この頃に出掛けてみて、「やはり……」となる。



今日はまだ二分咲き程度。



どうやら今年も、二月下旬に出直しのやうだ。



──と、また例年通りな噺になるかと思ひきや、思ひがけず“天体觀測”を経験す。


その二分咲き程度の梅を撮ろうとしてゐるところへ、向かうから中年の禿頭男が一人、その梅を見つけるなり直行すると、私がレンズを向けてゐるその前にスマホを持った手を伸ばし、遠慮會釈も無しに花を撮り出した。



その禿頭男の不躾ぶりもさることながら、私は間近で白昼に“満月”がのぼってゐるその現象に面喰らひ、「月は太陽の光りを受けて輝く」と云ふ天体の原理をそばで目撃してゐるにも拘ず、証拠の實況冩真を撮り損ねてしまったことを、返す返すも残念に思ふ。


「禍を転じて福となす」

「不快を転じて愉快となす」



今日の梅見はなかなか有意義だった。

では下旬に、再び出掛けてみよう。







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