迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

殘暑異譚。

2024-09-17 23:30:00 | 浮世見聞記
目的の鐵道車両を撮るため、白昼の殘暑炎下を「我ながらよくやる……」と笑ひ乍ら歩くうち、その住宅地がまだ耕作地帯であった昔日を今日に傳へる古屋に出逢ふ。



傳へると云ふより、そこだけどこかで時間が止まって、そのまま令和に至ってしまったかのやうな、ハテ私はどちらの時代にゐるのか、どちらの時代から来たのか……。



遠くのはうで、鐵輪が鐵路を噛む音が聞こえて、ハッとする。


私は、白昼魔の異世界へ引きずり込まれさうになってゐたことを、やうやく悟ったのである。









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