今年で全車両引退となる模様の橫須賀線・総武快速線のE217系のデビュー三十周年を記念した冩真展が、鶴見驛前のサルビアホールギャラリーで開催されると知り、どうしても氣になったので雨天をおして觀に出かける。
(※會場内接冩以外で撮影可)
それまでの“スカ色”113系の置き換へとして、平成六年(1994年)十二月にE217系が登場した時、普通車が編成の両端を除いてロングシート仕様であることに、とても衝撃を受けたことを憶えてゐる。
それまで113系や115系に代表される“中距離近郊形”と云へばボックスシート仕様が當り前であったなか、通勤型と同じロングシートなど、「こんなので長時間乗ってられるか!」と、暴挙以外の何ものでもなく思へたのだった。
が、通勤圏の擴大による平日朝夕の殺人的大混雑における輸送効率を考へたら、たまにしか乗らない旅行者の不満になど構ってゐられないであらうこと、また自分自身、混雑時に至近距離で知らない人と長時間向き合って座ってゐなければならぬボックスシートを避けるやうになるなど心境に變化が現れ、現在では普通列車の長距離移動でもロングシート車を選んで乗るやうになったのは、ヒトはやがてその環境に慣らされるものなのか何なのか……。
なんであれ、初めは抵抗のあったE217系も、房州や鎌倉方面への旅には大切かつお馴染みの“足”として、とてもお世話になった。
一時、一編成が東海道線に転属したことがあり、帯も“スカ色”から“湘南色”に改められ、
私も不思議な感触を味はひながら何度か乗ったものだ。
“有志”たちによるE217愛の詰まった力作揃ひのなか、特に目を惹いたのが、『都心へまっしぐら』と題のついた一枚。
総武快速線を疾走するこの姿こそ、私が房州を旅する樂しみのひとつであり、また高速移動の意義をよく捉へた秀作と感じたのである。
(※私が慌てて撮った一枚)
やはり、觀に行ってよかった。