この時期はどこへ行っても見事に「ゲホッゲホッ!」のバイ菌だらけ、浮世にはこんなのしかゐないのかと、あまりの數に恐怖すら覺える。
しかしあれらの平然とした様子(かお)を眺めてゐると、
『ばかは風邪をひかない』
は、もともと、
『ばかは風邪をひいてゐることに気が付かない』
が本来のコトバであったことを、ナルホドと納得する。
かつて人災疫病禍元年には、これらもにわかに命が惜しくなってマスク争奪に奔走してゐたであらうことを思ふと、その無學習ぶりにはまったく頭が下がる。
とにかくかうしたバイ菌どもの傍は“避ける”ことは、“マスク着用”と“手洗ひ”と“嗽(うがひ)”に並ぶ鐵則である。
とにかく、私の唯一の長距離移動手段である鐵道を利用してゐる時は、まさにバイ菌だらけのなかにゐるわけで、恐怖と苛立ちに氣持ちが落ち着かぬ。
が、今日に乗った車輌は窓が換氣で開いてゐて、
やっと、やっと、ホッとする。