迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

これが、日本映画。

2018-03-22 21:30:40 | 浮世見聞記
何の気なしにTVをつけると、市川雷蔵の「眠狂四郎 円月斬り」が放送されてゐた。

昭和39年公開の、大映作品だ。

さう言へば、大阪在住時代には市川雷蔵の眠狂四郎全作品が、関西ローカル局で昼間に放送されてゐたな……、と懐かしく思ひ出しながら、そのまま最後まで観入る。


脇役、端役の一人一人に至るまで、人物像がきっちりと出来上がってゐて、それが作品に奥行きを与へてゐる。

当時の俳優たちの質の高さ、推して知るべし。


また女優たちが皆、美しい。

現在のやうなクローンだらけとは違ひ、一人一人がちゃんと、“自分の顔”といふものを持ってゐる。

それがスクリーンを、あでやかに彩ってゐる。


眠狂四郎役の市川雷蔵につひては、いまさら私ごときが語ることでもあるまい。



ただ、事実をひとつ言ふとすれば、現在の動画屋のほとんどが、この俳優の名前を知らない。

せいぜい、「どこかで聞ひたことあるやうな……」などと、小首をかしげる体たらく。


温故知新すら知らない現在(いま)の動画屋の中身など、しょせん多寡が知れてゐる。



それにしても、歌舞伎出身の銀幕スターを観るにつけ、

『名門と名優は別もの』

といふ事実を、つくづく思わずにはゐられない。
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