令和三年、2021年、そして“人災疫病禍二年”の大晦日。
地元の驛では帰省なのか旅行なのか、荷物をゴロゴロ曳ひた人たちの姿を見かける。
どこへ行かうが、あとはその人たちの心掛け次第。
行末など知ったことではない。
ただ、かうした行動が疫病感染者の擴大に一役買ってゐることだけは、
間違ひない。
浮世はただただ冷笑に尽きた一年なれど、私自身は國難下と云ふ制限枠のなかで、行きたいところに行き、觀たいものを觀、欲しいものを手に入れ、願ひのほとんどを叶へた、樂しみを大いに樂しんだ一年。
残ったぶんは来年に繰り越し。
なにより一番の出来事は、今年はさすがに無理と覺悟してゐた手猿樂師としての活動を、オンラインと云ふいまもっとも関心のある形態で、一度だけでも行なへたこと。
いまのところ、来年こそ舞臺に立てるかは、全くもって不透明。
それでも、自力本願は決して自身を裏切らない──
私の信念を証明してくれた、嬉しいひとときだった。
さてさて、今年の残りの時間は部屋で落語を聴ひて、
眠くなったらさっさと床に就くことにしやう。
ああ、幸せ幸せ。