ラジオ放送の觀世流「盛久」を聴く。
日頃深く信仰する清水觀世音の功力によって、鎌倉へ送られ斬首となる直前に命が助かった平盛久の奇跡譚。
その後で、前夜に同じ靈夢を見たと云ふ源頼朝と面會した盛久は、命の助かった喜びの舞を舞ふが、この部分は基本的な型で構成されてゐるため、忘流では初心者向けの仕舞としてよく用ゐられてゐるのを、見たことがある。
と同時に、かうした簡單な型の仕舞くらゐ實は難しいものであることを、忘人のフラついてゐるとしか見えない舞ひっぷりから學んだ、しかしそれで覺えた曲目であったことも、いまや懐かしいと云へば懐かしい。