国立能楽堂で、今年最初の能を観る。
番組は金春流の「当麻」。
思春期に継母からイジメられるなど、散々な経験をしたのち、当麻寺に今も伝わる曼陀羅を織ったという伝説の姫、“中将姫”がシテの曲。
きらびやかなうちにも落ち着きある唐織の文様、地に根を下ろしたように低く響き渡る地謡、おおらかに袖を翻す“中将姫”の早舞-
それらがひとつになった時、向こうにぼんやりと浮かび上がる“当麻曼陀羅”-
わたしがあっとなった途端、中将姫の精霊は消え失せ、あとには影向の松が、初春のきんと引き締まった風に、枝葉をふるわせていた。
番組は金春流の「当麻」。
思春期に継母からイジメられるなど、散々な経験をしたのち、当麻寺に今も伝わる曼陀羅を織ったという伝説の姫、“中将姫”がシテの曲。
きらびやかなうちにも落ち着きある唐織の文様、地に根を下ろしたように低く響き渡る地謡、おおらかに袖を翻す“中将姫”の早舞-
それらがひとつになった時、向こうにぼんやりと浮かび上がる“当麻曼陀羅”-
わたしがあっとなった途端、中将姫の精霊は消え失せ、あとには影向の松が、初春のきんと引き締まった風に、枝葉をふるわせていた。