迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

たえまんだら。

2014-01-07 21:02:55 | 浮世見聞記
国立能楽堂で、今年最初の能を観る。


番組は金春流の「当麻」。

思春期に継母からイジメられるなど、散々な経験をしたのち、当麻寺に今も伝わる曼陀羅を織ったという伝説の姫、“中将姫”がシテの曲。


きらびやかなうちにも落ち着きある唐織の文様、地に根を下ろしたように低く響き渡る地謡、おおらかに袖を翻す“中将姫”の早舞-


それらがひとつになった時、向こうにぼんやりと浮かび上がる“当麻曼陀羅”-


わたしがあっとなった途端、中将姫の精霊は消え失せ、あとには影向の松が、初春のきんと引き締まった風に、枝葉をふるわせていた。
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