恒例の新橋古本まつりが今日までとのことで、行きそびれぬやう會場の新橋驛前SL廣場へ出かけると、いつの間にかSLの薹座に石垣が積まれてゐることに氣が付く。
前には無かったはずだが……? と不思議に思ったが、これは港區が鐵道開業150周年の記念事業として、世紀の大發見だった「高輪築堤」より“第七橋梁”の橋薹部分に使はれてゐた安山岩267個を實物通り30度の傾斜をつけて1mの高さに積み上げ、モニュメントとして再現して今年の三月十五日より公開したもの云々。
高輪の現地では、發見された約800mのうち120m區間を史跡として整備するほかは全て解体云々、もともと再開發工事の過程で發掘されたものゆゑ、すべての保存が難しいことは仕方がないが、しかし當時の石垣がそのために破棄されることなく、新たな時代に新たな用途を得て再生された姿を見るのは嬉しい。
すべてが安普請なこの令和に、“建築遺産”など生まれやうがない。
だからせめて、かつてニンゲンにはこれだけの夢と、それらを形に出来るだけの創造力が備はってゐた証明を、遺しておかうではないか。