昼過ぎ、兵糧を調達のため城を出、複合商業施設へ向かふ。
1400年代創建と傳はるその古刹は、白木も美しい姿にみごと生まれ変はり、私を迎へてくれた。
また猿樂の基本的な型をいくつか浚ふ。
時期的に混雑を覺悟してゐたがさほどでもなく、また前から欲しかった古本もさらに安く手に入り、氣分が明るくなってふと、長らく本堂の新築工事をしてゐた近くの古刹を、久しぶりに訪ねてみやうと思ひ立つ。
まう完成した頃だらう……。
思ひ立った、といふことは、すなはち御縁あって“招かれた”、といふことである。
1400年代創建と傳はるその古刹は、白木も美しい姿にみごと生まれ変はり、私を迎へてくれた。
新築祝ひのつもりで浄錢を奮發し、合掌して念じるはただ一つ。
戻りがけにはお気に入りの鐘楼へ寄って久しぶりに小謠を吟じ、
また猿樂の基本的な型をいくつか浚ふ。
おかげで私は、
やっと私に戻る。