横浜開港資料館の企画展示「コスモポリタンたちの足跡」展を観る。
開國後のニッポンに外交官として、或ひは商人としてヨコハマに降り立った欧米外國人たちそれぞれの人生を、遺されたプライベートフォトから通覧する。
開國後のニッポンに外交官として、或ひは商人としてヨコハマに降り立った欧米外國人たちそれぞれの人生を、遺されたプライベートフォトから通覧する。
──と云っても、撮影用の固い、または澄ました表情で冩る彼らの面相からは、ニッポンにどのやうな氣持ちを抱いて渡って来たのか、私では聴き取ることが難しい。
しかし、明治二十七年(1894年)七月に居留地が撤癈されて國内を自由に行動できるやうになった後、富士山への登山旅行を樂しむ英國人たちの明るい表情を冩し取った一枚一枚に、彼らも確かに血の通った同じニンゲンであることを見る。
趣味の範疇とは思えない美しい水彩画で當時のヨコハマを描き留めた商人、任期を終へて本國へ戻った外交官、日本人の女性と結婚し、時世に翻弄されながらもニッポンに住み續けた英國人──
人生とは、
経験と云ふたくさんの通過点(ポイント)を溜める、
果てしない旅──
そこに行き着く先があるのか、
或いはないのか?
プライベートフォトたちは、私に永遠の“謎”を問ひかける……。