國學院大学博物館の企画展、「吉田家 神道と漢籍を伝えた家」展を見る。
吉田家は亀の甲で占ふ“亀朴”の家だった卜部氏の出で、室町後期の吉田兼俱は密教の要素が混在した「吉田神道」を大成する。
そして戦国時代の当主吉田兼見は、明智光秀と懇意にしてゐたため本能寺の変では窮地に立たされるが、その危機をなんとか脱した後は豊臣秀吉に接近し、秀吉の没後は次代の権力者徳川家康にすり寄り、江戸時代における吉田 . . . 本文を読む
桂小文治と桂文治の落語を聴きに、上野広小路亭へ出かける。
小文治の噺は落語の定番「金明竹」、主任(トリ)の文治は「親子酒」。
二人とも先代(十代目)桂文治の門下で、兄弟子が小文治で弟弟子が文治と、先輩後輩で名跡の格が逆転してゐるわけだが、桂小文治とは先代文治の師匠、つまり当代からすれば大師匠の名跡なので、弟弟子とはうまく釣り合ひがとれてゐると言へる。
小文治は品のある端正な藝風、文治は豪 . . . 本文を読む
三月末で終了してしまった、ニッポン放送の「高嶋ひでたけのあさラジ」の後継番組が始まり、一週間が経った。
しかし、三十七歳といふパーソナリティーが前年度まで夕方に担当してゐたニュース分析番組と、内容がなんら変わっていない。
見事に、あれをそのまま朝へ移しただけのしろものだ。
なによりも、彼の話しに幅が無くてつまらない。
高嶋ひでたけさんのやうに、自分の意見をズバッと言ったり、時には茶化し . . . 本文を読む
東京都渋谷区内では、まう藤が咲き始めてゐる。
平常より、半月以上はやいのではないか。
もしや、と思って毎年楽しみにしてゐるご近所の藤をうかがひに行ったら、やはりここも咲き始めてゐた。
やはり、気候はおかしな事になってゐる。
草木は、つねに正直である。
地方巡業の土俵上で挨拶中に倒れた市長の救命活動のため、土俵に上った女性看護師の一件の尻馬に乗ったものか、土俵に上って挨拶し . . . 本文を読む
横浜にぎわい座で、昨秋に三代目を継ひだ桂小南の落語を聴く。
師匠である二代目桂小南の思ひ出話しをマクラに、噺はその師匠譲りの「ふぐ鍋」。
フグを乞食に食べさせて何でもないことを確かめてから食べたつもりが、乞食もこちらの様子を窺ってゐて、お替わりをねだられる、といふ噺。
遺された音源で聴く先代はまろやかな上方言葉で聴かせてゐるのに対し、弟子の当代は迫力ある声量で語尾は上がり調子に伸びる、独特の . . . 本文を読む
旧東海道は川崎宿の裏手にて、優等列車の装ひを施した京浜急行1500形を見かけたので、とりあへず写真におさめておく。
これは今年で120年を迎へた京浜急行の企画した記念イベントのひとつ、「京急120年の歩み号」で、京浜急行の原点である京急大師線を走る1500形一編成四両に、それぞれ歴代の車両塗装を復元して二月下旬から約一年の期間限定で運行してゐるものだ。
小島新田寄りの先頭車には写真のごとく、 . . . 本文を読む
渋谷のスペイン坂で、一人の男がやたら耳に障る甲高い聲で、なにやら口上を述べてゐた。
耳に障るゆゑになんだと思ってゐると、近所で“カジノディーラー”の養成学校を開ひたので、無料体験しませんか、と宣伝してゐるのであった。
「2020年の東京オリンピック後、日本にもカジノができます。しかしカジノディーラーは、日本人ではほとんどいないのが現状です。だから、今のうちにカジノディーラーになれば、ゆくゆくは . . . 本文を読む
前からずっと探してゐた二目桂小南の「菜刀息子(ながたんむすこ)」のCDを、時おり覗く神保町の中古レコード店で、はからずも手に入れる。
通販サイトに出てゐることはもとより知ってゐたが、バカにしてゐるとしか思へないやうな高値が付ひてゐたので、気長に構へてほかを当たり続けてゐたところ、今日の吉事に巡り逢ふたわけである。
「菜刀息子」は上方落語でもかなり珍しゐ部類に入る大ネタで、戦前は三代目桂米團治 . . . 本文を読む