人は皆萩を秋というよし、われは尾花が末を秋とはいわん
(万葉集巻十 3110)
急に寒くなりました。谷津山もぐっと秋めいて、ススキの穂が目立つようになりました。万葉集で言う尾花とはススキのこと。人がみな秋の花として萩をめでるので、自分はススキを愛でよう、というのですが、ススキは、寒々としてわびしいものです。ましてや、野原いっぱいに広がるススキは、古代の人にとっても寂寞としたものだったことでしょう。こんな風に歌った古代人はどんな人だったのでしょう。ちなみにこの歌は読み人知らず。華やかな萩ではなく、物悲しいススキに感情移入する人も多かったのでしょうね。