「河井寛次郎」は日本を代表する陶芸家です。
柳宗悦・浜田庄司等と共に、民芸運動を興し「日
本民芸美術館」を創ったことでも知られています。
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京都、清水寺の登り口に近い東山五条坂に、彼の暮
らしていた家があります。
大道りから一筋それて路地に入ると、あたりは昔な
がらの木造家屋の並ぶ静かな住宅地、昭和48年、
寛次郎没後7年にそこが記念館として公開されまし
た。
引き戸を開けると中は以外に広い板の間で、サ
ロン風の大部屋には、自在鉤のついた炉や民芸
調の椅子やテーブル・木製のベンチ等が並んで
いて、どこか昔の日本の温もりが感じられます。
部屋の先には中庭があり、その中庭を取り巻く
ように仕事部屋や展示場が鉤型に続いています。
1階は仕事部屋風、吹き抜けの2階には書斎風
の部屋や和室もあり、ずいぶんと大きな木造家
屋です。
中庭には、日曜美術館でも紹介されていた郷里
の丸石がどんと据えられています。これは故郷
安来から灯篭を贈るという話を断って、代わり
にもらったという逸話のある丸い大きな石で、
まるで作品のようです。
庭の続きは、仕事場・展示室・登り窯もそのま
ま残っています。
寛次郎が集めたと思われる美しい家具や道具類
がさりげなく置かれ、彼の豊かな感性と美意識
を感じさせる空間です。
「暮らしが仕事、仕事が暮らし」をモットーと
した河井寛次郎の精神を、肉親が愛情をもって
保存している温かな記念館です。