陶芸工房 朝

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秋海棠の葉・不思議な形

2015年08月30日 | 野草

朝晩の気温の差が植物に秋を告げるのでしょう。秋の花が咲き始めました。写真は秋海棠です。 

 

先日、静岡市の美術館で開催されていた「青磁のいま」見にいって、作家の作品を創作する過程を紹介するビデオをみました。「身近な自然の形から創意を得て独特のフォルムを打ち出した」とわれる川瀬忍氏の成形のヒントは、庭に咲く秋海棠の「葉」でした。

 

なるほど、秋海棠の葉をよく見ると奇妙な楕円形をしていて、左と右の大きさも葉脈も相似形ではありません。

陶芸の世界では成形に轆轤を使います。轆轤造形の基本は「円」です。逆に言えば、轆轤を使う限り「円」から出ることができません。そこには、否応なくシメトリーの世界が生まれます。しかし、自然の世界は造形の妙に満ちていて、シメトリーでは表現できないカタチがたくさんあります。それをどのような技法でどのように成形して独自の世界を創りだすか、それが作家の技量です。

 

秋海棠の葉の造形から思いついたという「青磁の大鉢」(カタログから)

 秋海棠の葉からこの美しい青磁の大鉢を生み出す作家の感性と美意識と技量に、軽い嫉妬に似た羨望を感じるのは、私だけでしょうか。