陶芸工房 朝

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渦潮海峡から大塚美術館へ(2)

2016年12月24日 | 淡路。四国の旅

「とにかくすごいから!」 

 どこがどんなふうに「すごい!」のかよく判りませんでしたが、「とにかくすごいから!」に押されて、「いつか機会があったら行ってみたい」と思っていました。 

 

バチカン宮殿内のシスティーナ礼拝堂・天井画の一部 ・ミケランジェロ  

*

  渦潮海峡をこえて、高速道路をしばらく走ると、左手の山に貼りつくように建っている白い建物が目に入りました。「あれが美術館らしい」と、山をぐるりと回りこむようにして降りていくと、美術館の駐車場につきました。そこからシャトルバスに乗り換えて美術館へ。

  四国では、直島の地中美術館・牟礼のイサム・ノグチ美術館等に行っています。いずれも前予約が必要なくらいの小さな美術館で、ひっそりとした一人旅には向いていました。  が、今回の大塚美術館はちょっと勝手が違いそう。「入場料が日本一高くて(大人一人3240円)、作品の数が1000点以上あって、全館を歩くとその距離4キロ」という桁違いに大きい美術館です。おまけに、全作品が陶板に転写したレプリカで、写真をとっても、触ってもいい、というのです。 

なんの下準備もないまま勢いに押されて館内に入ると、

いきなりシスティーマの礼拝堂の中です。「いきなり」だったことにまず驚きました。

システィーネ礼拝堂の天井画 

 

バスツアーらしい団体客がきていて、ガイドさんがペンライトで天井画を指しながら、「あそこに見えるあの二つ手、あれは、父なる神の手が、今アダムに生命を吹き込もうとしているところです」と説明をしています。

ウイキぺキアより転用

 

  美術館というと、重々しい扉や厚い壁があって、そこを通り過ぎていくと、時代の重みで湿ったように感じられる空気が漂っていて、何か厳かな気持ちになるものなのですが、そういう感じはありません。

 

 

スクロヴェーニ礼拝堂 

 

 「システィーナ礼拝堂」の「最後の審判」等を見ながら、ゆっくりと見学コースを進んでいくと、さらに驚かされます。「スクロヴェーニ礼拝堂」が、おごそかな佇まいで再現されていて、美しいトルコブルーの天井に星が輝いています。

一枚一枚の絵画 が再現されているのはよく見ることですが、丸ごと異次元の空間が再現されているのには、本当に驚かされます。しかもその空間が、限りなく実物に近く細部まできちんと再現されて厳かな空気が漂っています。本当の礼拝堂の中にいるような感じです。

 

聖マルタン聖堂  

 

さらに進んでいくと「聖マルタン聖堂」「聖ニコラウス・オルファノス聖堂」・・。

 

 

聖ニコラウス・オルファノス聖堂

 

 そのあまりにも大胆な挑戦に驚嘆しながら、さらに進むと、作品は・・・、

ポンペイの壁画「秘儀の間」(写真は借用)

 

大塚美術館はHPより借用

 

まるで美術の 教科書をめくっていくようです。見覚えのある作品をゆっくり時間をかけて見ていたら、本当に時間がいくらあっても足りません。

ここはまだb3フロアーのほんの一部にすぎません。

急がないと日が暮れてしまいます。

*

 

再現されている世界の貴重な美術作品の数々を眺めてながら、ふと思ったのです。

一枚の絵一つの作品と出会うために、旅の計画を練り、書物を読んだ時のことを、

異国の空気を肌に感じながら、ドキドキして旧市街を歩いた日のことを、

そして、

美術館は単なる美術館ではなく、その時の自分であったり、人生だったりしたことを。

 

 

 


渦潮海峡から大塚美術館へ(1)

2016年12月24日 | 淡路。四国の旅

青い海と緑の島を結ぶ白い美しい橋・大鳴門橋を渡ると、徳島に入ります。

 

                                                                     渦潮 ウイキペキアより借用

     

この区間が有名な「渦潮海峡」です。

せっかくなのでその渦潮を見たいものだと、展望台のようなところによったのですが、

少しのタイミングのずれで、すでに渦潮はひいて行くところでした。

(渦潮を見るには渦潮の時間をよく調べていくこと。短時間で渦潮は消えてしまいます)

 

すでに引いていく渦潮。

 

どうしてここでだけ渦潮が起きるのか、不思議に思っていました。

それは、島と海面との複雑な相関関係によるものだったのです。

 月の引力によって高まった海面は、月の動きを追いかけるように東から西に移動します。

その満潮の波が、二手に分かれて一方は鳴門海峡側に、片方は大阪湾方面に向かいます。明石海峡を抜けて播磨灘に向った大阪側の波は、6時間後に豊後水道を経て鳴門海峡に入ってきた波と出会います。この6時間の間に、紀伊水道側は干潮の波になり、播磨灘側の波と紀伊水道側の波との間に1.5メートルもの水位差が生まれます。それが高くから低くへ流れこみ「渦潮」が生まれます。島という特別な地形(海底も含む)を廻るこの波の流れが、渦潮を生みだす源になっていることをしりました。

 

*

渦潮がみられなくても、限りなく青い穏やかな海は、まちがいなく人の心を癒してくれます。

この海峡を渡ったところにかの有名な「大塚美術館」なるものがあります。

今回の目的の一つが、その大塚美術館でした。(続きは次に)