朝起きて窓を開けると、太陽を背にした黒い富士山のシルエットがくっきりと映し出されていました。ちょうどその時、その黒い富士山の背後から白い一筋の線が現れ始めました。それは見ている間にするすると伸び上がり、軽く富士山を越えると天高く昇って行きます。「羽田から飛び立った飛行機かしら? もう富士山の3倍ぐらいまで行ったネ・・・」と話している間に、一筋の白い線は五月の青い空の中に消えていきました
そして、いつもの美しい朝霧の富士山が現れました。
前半は雨も多く温度も低かった天候が、後半になって快晴が続き、文字通りのゴールデンウイークです。快適な五月晴れの中を爽やかな緑の風が通り過ぎて行きます。申し分のない散歩日和です。
このあたりは、別荘地と言っても家は点在しているぐらいで、木も草もみんなが自然体な感じです。・・・時折小鳥の声が聞こえてきます、さっき「ケーン」という声がしたと思ったら、雉が草叢の中をお散歩です。
空地いっぱいに二輪草(ニリンソウ)が咲いています。街場よりひと月おくれで今が満開です。品の良い白い花が風に揺れています。
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コロナで二年間も遠出ができなかったこともあって、ここに来たのも久しぶり、そう三年ぶり?でしょうか。自然は変わらないいなーと思いながら歩いていくと、突き当りの森が大掛かりに伐採されているのに出会いました。聞けばここの別荘地のすぐ近くにキャンプ場ができるとか・・。
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広場の中央には伐採された大きな木々が積み上げられ、周辺のニリンソウの上にも小枝が無造作に積み重ねられています。
開発の、その無造作さに、何か漠然とした不安を感じ、心が痛みます。
昨今は、何やらキャンプばやりとかで休みになると富士五湖周辺のキャンプ場は大都会並みの混雑です。この連休の期間中も西富士道は大渋滞で昼間は外出もままなりませんでした。都会に住む沢山の人たちにも豊かな自然を楽しんで頂きたい、とは思います。でも、今のような感じで都会が移住してきたようなキャンプ場を増やすことがいいことなのかしら? ふとそんな気がしました。