バンビ・わーるど

プラダー・ウィリー症候群の息子「バンビ」を愛し、その成長を見守る母・suzuのつれづれ日記(&ときどき猫だより)

情報は武器にも檻にもなる という話

2016年06月07日 | 小さなPWS児のパパ&ママのために
私は今 親の会の役員をしていて、一応オフィシャルな立場があり
このブログはプライベートなもので、だから今はあえて会の活動については書かないつもりでいるのだけど。

ただ最近、生まれて間もないPWSの親御さんとの接点がいくつかあったり
先日 なんと40以上(赤ちゃんも入れたら90人以上)のPWSの当事者&家族が一堂に介する機会もあり
そんな中で感じたことなんかをちょっと書いてみたいと思います。



バンビが生まれて、私が会に入った頃 先輩ママさんに
「今のお母さん達は情報がいっぱいあってうらやましい面もあるけど、逆に振り回されて気の毒にも思う。」と言われたことが
一度ならず(一人ならずかな) あった。

まぁ、当時は情報がいっぱいと言っても、やっとホームページが医療関係・個人でちらほらできてたくらいで
親の会も協会もまだホームページはなかったと思う。

でも、それを聞いた時 私は正直言って「そりゃ時代が違うしなー。」と思っていた。
何もわからない暗闇の中にいきなり突き落とされたような親にとって、情報は道の先を照らす灯だもんね。
あるに越したことがない そう信じてた。
もちろん、その気持ちは今も変わってはいない。


で、それから10数年の時が流れて、今やPWSに関するブログはたくさん見受けられるし
保護者同士がSNSで簡単につながれるようになった。

もちろん、それはそれでいいこともたくさんあるだろうね。
でも 今、私は思うんだよねー。
「今のママ達は(自分も含めてだけど)情報に振り回されて大変だなぁ。」って。



最初は誰でも情報がほしい。
情報は我が子を守る武器になるから。
でも、それは我が子や親である自分を縛る足かせにもなりうるんだよね。
時には情報が刃となって、傷つけられることだってある...。

我が子のために良かれと思われることは何でもトライしてみたい。それが親心。
でも 特に医療関係の情報は 日々進化していく。
昨日正しいと言われていたことが、今日もそうだとは限らない。
今 良さそうだと言われていることも、本当に結果が出るには長い時間がかかることもあるし。

それと、そもそもブログやFacebookに書いてあることは、ここもそうだけど 個人の私見でしかないんだよね。
あくまで1サンプルとして の話。

何かの本に書いてあった とか、どこそこ病院のDr.が言ってた とか、講演会で聴いた etc
そんな一見オフィシャルっぽい内容だって、個人のバイアスがかかることもある。

それに例えDr.の言うことだって、人によって考えが違って治療方針ってそれぞれで
もちろん 患者も状態はそれぞれだから、Aさんに合うことが 必ずしもBさんにも当てはまるとは限らないと思う。

発信はいくらでもやってもらいたいし、私自身も今後も続けていくつもりだけど
受け取る側は そういう前提踏まえた上でにしないとね。
何もかも頭から鵜呑みにしないで、情報を吟味してもらえたらいいんじゃないかな。



例えば、成長ホルモンについては 早期に投与した方が有効であるとされて今はどんどん低年齢化しているようだけど
私自身は 慎重派。

バンビはずっと身長が高かったから始めたのは9歳とかなり遅かったけど、今13歳で150cm近いし肥満もしてない。
GH始めると身体つきが変わるって話も聞いたけど、うちは既に身体できあがってたせいか特にそんな実感もないままにいる。


それより、成長ホルモンは薬だから当然副作用の可能性は0じゃないんだよね。
よく「成長ホルモンは本来身体の中で作られるものだから心配ない。」って話を聞かされると思うけど
GH自体はそうでも、それを溶かしている薬剤(メーカーによって多少違うらしい)も体内に入るわけで。
バンビは一度肝臓の数値が上がって、一時期注射をするのを控えていたことがあるんだけど
その時初めて私は GHの副作用で肝臓に影響することがあるのを知ったんだよね。
始める時聞いたのは 側弯のことと、あと糖尿病や睡眠時無呼吸症候群だとできない くらいの説明だったのに。

さらにバンビが心臓手術の後、GHを再開したら蕁麻疹が出て、紅斑みたいになったことは前に書いたけど
これもその時初めて担当医に”一時的に抵抗力が落ちてる時にそういう溶剤に反応して副作用として出ることは考えられる。”って言われて
薬剤についてる説明書の副作用の欄を改めてじっくり読んだんだけど、過敏症として紅斑のことも書いてあってびっくり。

もちろん、今投与している子達の担当医は そういうことも踏まえた上でちゃんと検査して数値を見ながら処方しているんだろうから
いたずらに副作用を恐れる必要はぜんぜんないと思うけど
ただ、親としてはそういう副作用があることも知っておいた方がいいんじゃないかと”私自身の体験から私は思う。”という話。


だから正直言うと、今は0歳のうちから0.1mlスタートで投与 って話を聞くと 私的には ???
いや、もちろん私は素人だからわからないけどね。

さらに 小児慢性疾患の制度を利用するには-2HDという身長の制限があるから
栄養の量を一時的に制限して身長の伸びを抑えてGHを始める というケースがあると聞いてびっくり。
何とも言えない気持ちになる...。

でも、月齢の近い子が始めたらうちも って思っちゃうのが人情だろうし
今はみんながつながってるから そういう情報ってすぐ入ってくるんだろうし。

わかるんだけどねー。
良いと言われたら やらせたいと思うよね、誰だって。

でも、何が正解なんて誰にもわからない。答えが出るのはもっと後の話かもしれないんだもん。
1つの情報だけで判断しないで、よく調べてじっくり考えることが必要かも。



先輩ママさん達は GHはおろか、まだプラダーウィリー症候群という病名さえ知らされることなく子育てをして
何だろう? 何かおかしい。 そう思いながら不安や心配を抱えて過ごされてきたんだろうと思う。
でも、知らないからこそその時は平和だったかもしれない。
ただ目の前の我が子と向き合って かわいい、愛おしいと思って夢中で育ててきた という話をよく耳にする。

”他の子と比べて”はあったかもしれないけど、”他のPWSの子と比べて”はきっとないままにいただろう。
だから、うちもあれをしなきゃ、これをやらなきゃ って煽られるような気持ちになることはなかったのかも。


そういう私も KUM@Nやってる子がいると聞けば、バンビにもやらせた方がいいだろうか と悩み
ポニーがいいと聞けばやらせようかと思い
いちいち 焦って右往左往してきた過去がある。(いや、いまだに かもしれない。)

他の子には良くてもバンビに合うとは限らないし、環境が揃わない場合もあるし
無理して疲れる必要なんてどこにもないのにね。

知らなければ逆に平和なのに、耳に入るから気になってくる。
もちろん良い情報は共有できればありがたいけど
取捨選択ができないのに膨大な情報が流れ込んでくることはリスクも伴う。


この前も先輩ママさんに
今の子ども達はみんな肥満する病気なんて嘘みたいに細いけど、ちゃんと食べてるのかな。
親が過食を気にするあまり、食事を制限しすぎてないか心配になる。
身体を作り、脳が発達する大切な時期に栄養を制限することのリスクもわかってるならいいんだけど...。
と言われた。

PWS児をたくさん見てきてる先輩ママさんによると
小さいうちからGHを打ってるのに、結構年齢が進んでも独歩ができないお子さんが昔より増えているような気がする という話だった。
まぁそれはあくまでその方の印象だから、医学的裏付けはない話だけどね。



あと、今はネットで検索すれば情報はすぐ手に入るし、知恵袋じゃないけど聞けば見ず知らずの他人が親切に教えてくれる。

もちろん、それはすごく良いことでもあるし、だからどんどん聞いてもらって構わないし
私も聞かれたら わかることはいくらでも答えるけど
ただ、何度も言うけど、バンビに合うことが他の子にも当てはまるとは限らないんだよね。
私は何の専門家でもないから 答えることはあくまでも”うちの場合は”の話だし。

あとね、我が子と向き合って、自分の子に合うことを親が自分で考えて探して見つけ出す。
その経験って 後で活きる気がするんだけど。
少なくとも私はそうだったんだよなー。

聞いてなるほどと思って、それですぐ身につく人も多いかもしれないけど
私はそういうのって大抵その場限りですぐ忘れてしまう。
自分で悩んで考えてひねり出した答の方が 身について、次に応用が効く。

そうやって親も経験値を上げていくことで、我が子を守る術(すべ)が身に着いてきたと思う。
だからその手間は惜しまない方がいいんじゃないかな。

うちはこうだった、私はこうした そういう経験談を参考にしてもらうのは大いに結構。
だけど、どうか 目の前の我が子とじっくり向き合ってみてね。
この子に何が合うか、この子にどうしてあげたらいいか、今のこの状況の中でできる最大のことは何か。
子どもをよく見てるとわかることがたくさんある。
それを自分の頭で考えて、自分の手でつかみ取るようにしていったらいいと思う。


しつこいようだけど
情報は我が子を守るための盾にもなるし、道を切り開く剣にもなる。
だけど、その刃で逆に傷つけられることもあるし、自分を縛る檻になることもある。
情報って便利だけど、難しいし怖い面もある。
みんなでうまく付き合っていけたらいいな と思うんだよね。


メールはこちらまで → yakkoxhs@gmail.com

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« メールをくださったEさんへ... | トップ | 成長ホルモンのジェネリック... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
マーチさん♪ (suzu)
2016-06-12 16:56:40
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
お返事遅くなってごめんなさい。(久しぶりに発熱して寝込んでしまいました...。)

まぁ、これって誰もが通る道なんですけどね。

まず周りの定型発達の子と比べて、障害がなかったら と思ってしまうし
さらに、同じPWSの中でも比べてしまって、自分の子が遅れていたり劣っていたりしたら凹んでしまう。

PWSは症候群というくらいで、いろんな症状があって当たり前、個人差がつきものなのにね。

周りと比べるより ちょっと前の我が子と比べて
昨日できなかったことが今日できるようになった
そのことのありがたみを感じられれば それで十分なのに...。
ということは 私も 少し経ってからわかるようになりました。

マーチさんのお子さんもいろいろな刺激を受けて、成長しているようですね。
ごろごろ寝がえりができるようなると、こちらが思う以上に移動したり、いろんなものに手を出すようになって焦ったりして。(笑)
これから先の成長が楽しみですね。

また たまに様子を聞かせてもらえると嬉しいです。


返信する
Unknown (マーチ)
2016-06-09 23:09:20
suzuさん、こんばんは。お久しぶりです!

私も…まさに…情報に振り回され、右往左往し、焦っていた一人でした
なので、実は最近他のママさんのblogものぞかず、 自分のblogも更新せず、の日々が続いていました。
我が家は、離乳食は随分と進んだものの、体重がなかなか増えず、GHもまだまだ先の予感です。と言うか、医師からもそう言われています。
でも、他の子はGHも、リハも、手帳関係もズンズン進んでる。
うちは大丈夫なのか、と、比べて焦って、不安になって。
でも、息子は至って元気なのです。
4月から、児童発達支援の事業所に通い始め、確実に成長しています。
ようやくだけど、寝返りマスターし、クビもすわりました。

今の息子には何が必要なのか、一番いろんなことを教えてくれるのは息子なんですよね。
suzuさん、ありがとうございます。相変わらず、たくさんのこと、教えていただいています
返信する

コメントを投稿

小さなPWS児のパパ&ママのために」カテゴリの最新記事