テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

武蔵野の……推理合戦!

2011-01-25 23:03:56 | ブックス
「うんしょッ、こらしょッ……うむッ!
 わらじィ、おっけいィ!」
「がるーるるるぐるる!」(←訳:スニーカーもオッケー!)

 は~い、長歩きの支度は整ったようね?
 こんにちは、ウォーキングシューズOK!なネーさです。
 
「こんにちわッ、テディちゃでス!」
「がるるー!」(←訳:虎ですー!)

 さあ、前回記事の最後でお約束しましたように、
 相模湾に面した古都・鎌倉を出発!
 本日ご紹介いたします一冊の、
 舞台となっている土地へお出掛けいたしましょ♪
 細く険しい切通しの岩間を通り抜けたら……
 目指すは鎌倉街道!

「かまくらかいどォ?」
「ぐるるがる!」(←訳:歩けや歩け!)
「……むッ! なにかァ、みえてきたでスゥ!」

 おお! 到着しましたよ~!

  


 
             ―― 謎解きはディナーのあとで ――


 
 著者は東川篤哉さん、’10年9月に発行されました。
 現在、順調に版を重ねて30万部突破!という
 評判のミステリが、こちら!ですね。
 
「はァーふゥーはァー (←息切れしています)
 ネーさァ、ここはァ、どこでスかァ?」
「がるぐるるるがる~?」(←訳:東京の郊外の町、かな~?)

 ええ、そうなんです。
 鎌倉街道あるいは旧鎌倉街道と呼ばれる古い街道がありまして、
 その道を鎌倉から北上してゆくと、
 東京の多摩地方、
 昔風に言いますと『武州(ぶしゅう)』という地域に到るのです。
 『武』は武蔵野の武、ですね。

 その東京都郊外の、国立市。
 大学があり、整備された町並みを
 春は桜が美しく彩るこの国立に、
 ちょっとした名物警部さんがおられます。

「けいぶさんッ?
 わきゃッたァ!そのひとがァ、しゅやくさんッ!」
「がるるぐるる!」(←訳:主役にして探偵!)

 えーと、それがね。
 当の名物警部さん――風祭(かざまつり)警部さんはね、
 父上が中堅自動車メーカー『風祭モータース』の社長さんという、
 お金持ちのボンボン、いえ、御曹司なのでございます。
 事件が起こる度、ポンポコポンと名推理をくりだす警部さんですが……
 よぉ~く見て下さい。
 警部さんに付き従う、
 ひとりの、若い女性刑事さんを。

「うむッ! こんどこそォ、わきゃッたでス!」
「がるぐるがるるるー!」(←訳:この女性が探偵さんだー!)

 いえいえいえ。
 もいちど、よぉ~く見て下さい。
 歩道を行く女性刑事――宝生麗子(ほうしょう・れいこ)さんを
 迎えに来た高級車があります。
 運転席から降りてきたのは……
 宝生家の執事であり運転手の、
 影山(かげやま)さん。

 ええ、もうお分かりですね?
 
 快刀乱麻の勢いで、
 謎を解明してゆくのは、
 警部の風祭さんではなく、
 聡明なお嬢様の宝生麗子さんでもなく。

 執事の、影山さん!

「むぽゥ!
 まんがァ、みたいッ!」
「がるぐるがるがる!」(←訳:映画みたいだよ!)

 キャラ設定はコミカルではあっても、
 実は、
 御主人さまよりも従僕の方が賢い!
 というスタイルは文学史上では珍しいことではありません。
 代表例は、
 ドン・キホーテさんと従者サンチョ・パンサさん。
 
 この物語でも、
 影山さん、大胆不敵に
 『お嬢様はアホでいらっしゃいますか』
 などと発言しては麗子さんの怒りを買い、
 けれど鮮やかに難事件の犯人を推理してみせるのです。
 
「いいなァ♪
 かしこいィしつじさんかァ~!」
「ぐるるるぐるがーる!」(←訳:我が家にもひとり欲しいねー!)

 キャラさんたちはハジケちゃってるけど、
 短編ミステリの良さを巧みに織り込んだ6編の《謎》の饗宴は
 マニアックなミステリ好きさんをも
 きっと満足させてくれるでしょう。
 それに!
 本日1月25日、嬉しいニュースが報じられました!
 なんと、2011年の本屋大賞候補にこの御本がノミネートされたのです!

「わおォ♪
 おめでとうございまスゥ!」
「ぐるるぐるるー!」(←訳:すごいすごいー!)

 楽しくもどこか懐かしい正統派連作ミステリ、
 激おすすめの、一冊です!
コメント
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