テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

2011!新春特別企画!《白い宝玉》その4!

2011-01-02 23:36:31 | 2011!新春特別企画!
 手段はひとつ――!

 クマリング侯爵家の家宝盗難事件と
 ウサギくん一家誘拐事件のかかわりを解き明かしてみせた
 名探偵テディちゃムズ!

 盟友ユキノジョン・H・ワトソン博士、
 友人の虎くん&ウサギくんに告げました。

「にげようゥッ!!」

 

 逃げろや逃げろ、それ逃げろ!
 皆で一緒に、大脱出!
 何故って、
 いつ悪漢たちがこの屋敷に戻ってくるのか、
 また、
 彼らには大勢の仲間がいるのかもしれないのですから、
 ここはさっさと、
 逃げ出してしまう方が賢明ですね。
 
「うおりゃあ!」

 ユキノジョンは塀をぶち破り、

「がるるっ!」

 虎くんはウサギたちの足に巻かれていた鎖を噛みちぎり、

「こッちだッ!」

 ロンドンの街路を知り尽くすテディちゃムズの道案内で、

「よぅし! ぴょぴょんっ!」

 ウサギ一家も健脚ぶりを発揮いたします。

 でも、テディちゃムズ、
 何処へ向かおうとしているのでしょう?
 ユキノジョン・H・ワトソン博士が走りながら訊ねますと、
 
「あのかどをォ、まがればァ、
 ぐりにッじィ、だよゥ!」

 おお、グリニッジ!
 天文台があり、子午線が通り、
 海事博物館もあって、
 川沿いには……

「そうか!
 『テディサーク号』を使う気なんだね!」

 七つの海を越え、異国からの荷をロンドンに持ち帰る
 クリッパー船『テディサーク号』!
 3本マストの大型帆船は、
 グリニッジ近くの埠頭に係留されているのです。
 船主のお金持ちに頼まれて、
 『壊れた船首飾り事件(未公開)』を解決したのは、
 そう! 名探偵テディちゃムズ!
 船主さんは感謝して、
 いつでも『テディサーク号』を使ってくださいと言ってくれました。
 今こそ、あの船を借りるべき時です。

 

「りっぱな船だね!」
「ぐるるがる!」(←訳:さあ乗船だ!)
「帆をはれ!
 錨をあげろ!
 舵を取れー!」

 力を合わせ、えいや、こらさ!
 『テディサーク号』は離岸します。
 時刻はちょうど、午前0時。
 ロンドン中の鐘が鳴る中を、
 祝福されるかのように帆に受けて、
 舳先は東へ、
 テムズ川の河口へと。

「ようそろ!ようそろ!」
「おもかじィ、いッぱいィ!」
「がるっ!がるぐるー!」(←訳:あっ!あれはー!)

 巨匠ターナー氏が描く壮麗な絵を想わせ、
 テムズ河口の海面が虹の色に染まりました。
 雲が白く、赤く、そして金色に輝いて――

 昇ってきたのは新年の太陽!

 ウサギ一家の歓声が、
 虎くんとユキノジョンの感嘆の溜め息が、
 そしてテディちゃムズの
 「しんねんッ、おめでとうゥッ!」が
 新しい年の新しいお日さまに届いたのでしょうか。
 河口を経て、
 ワイト島の港へ到るまでの一行の船路は、
 それはもう穏やかな、
 こころはずんで、
 楽しい旅であったそうでございます。

 

 「みなみなさまッ、はッぴィーにゅーいやッ!!」


 
 【補記】

 (1月1日付『ロンドンくまタイムズ』一面記事より抜粋)

 『名探偵またもお手柄!』
 スコットランドヤードの発表によると、
 某貴族夫人の宝石盗難事件が大晦日に発生、
 しかし名探偵テディちゃムズ氏と
 テディちゃムズ氏の電報を受け取ったクマトレード警部の迅速な行動により
 容疑者ふたりは『紅白クマ歌合戦』会場出口で
 身柄を抑えられた。
 容疑者Mは、盗まれた宝石と裁縫道具を隠し持っており、
 また『歌合戦』会場の警備員たちは、
 何度も会場を出入りするふたりの行動が不審だったと証言している。
 容疑者たちは、
 「だから早く出国しちまおうと言ったのに!」
 「だって大トリの『クマップ』を観たかったんだもの!」
 などと罵り合っていたとの情報もある。
 クマトレード警部は近く記者会見の予定、
 宝石は今日にも持ち主の婦人に返却されるとのこと。
 なお、テディちゃムズ氏のコメントは得られていない。
 (2面、7面に関係記事) 
  
コメント
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