テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

燦然!のCM史。

2014-04-11 21:39:21 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 はなふぶきィ~、でスよゥ!」
「がるる!ぐるるがる~…」(←訳:虎です!川面に花筏~…)

 こんにちは、ネーさです。
 ソメイヨシノの花筏を見送りながら、
 本日の読書タイムは
 私たちも大ファンだった、いえ、今も大ファン!な、
 こちらの著者さんの御本を、どうぞ~!

  



           ―― 天野祐吉の CM天気図 傑作選 ――



 著者は天野祐吉さん、2013年12月に発行されました。
 『経済大国から《別品》の国へ』と副題が付されたこの御本は、
 朝日新聞紙上に連載された『私のCMウォッチング(1984年4月5日~90年6月29日)』と
 『CM天気図(1990年7月7日~2013年10月16日)』の中から選ばれた
 155編の“CM批評”から構成されています。

「するどいィ~してんッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:独自の視点!)

 《CM》にひとこと申す。

 毎週、新聞紙に掲載される
 天野さんのCM批評は
 今にして思い返せば画期的な企画でした。

 新聞にだってスポンサーはついているんですもの、
 オトナしくしていれば波風は立たない、んですけれど、
 天野さん、オトナしくなんかしてなかったわね!

「ときにはァ、するどくッ!」
「がるるるぐるる!」(←訳:ときには柔軟に!)

 おや?と思えば
 ぴしり、と叱り、
 面白いものに巡り会えば
 いいぞ!と称賛した天野さん。

 昭和という時代の終わりに
 TVから二日間にわたって一切のCMが消えたこと。
 
 バブル経済の崩壊。

 20世紀の終わりに
 この100年を象徴する10の広告を考察し。

 年寄りをナメんなよ、と啖呵をきり。

 そして、東日本大震災のおりも
 一方的に流されるTVCMを憂い、
 現場に思いを馳せ――

 常に、上からの目線ではなく
 ふつうのおじさん感覚で
 CMと、CMを生み出すこの現代社会を
 眺めてきたのが、
 天野さん……。

「つよいィくによりもォ~」
「ぐるるるがる!」(←訳:賢い国がいい!)

 強い国ではなく、賢い国。
 お金では買えない何かがある。
 戦争も原発もない《別品》の国がいい。
 そういう国に住みたい――

「テディちゃもォ、そういうくにがァいいッ!」
「がるる!」(←訳:ボクも!)

 天野さんが見立てた、
 ものの本質。

 CMから、或いは広告から覗き見えるこの国の文化、姿かたちはどんなものなのか、
 それは将来どうあるべきなのか。

 天野さんという指針を喪った私たちは
 今日もTVや新聞雑誌を賑わすCMに
 何を想えばいいのか――

 読み手の想いはすべて、
 御本巻末の『天野祐吉の横顔』で
 《宇宙人ユーキチの妻・天野伊佐子》さんが代弁してくださっています。
 なんともやさしく、あたたかく。

 ……堅苦しい御紹介になっちゃいましたが、
 震災から三年と一ヶ月が過ぎたいま、
 活字マニアの皆さま、
 ぜひ手に取ってみてくださいね、この一冊!

「あしたのォ、しーえむてんきずはァ~」
「ぐるるがる!」(←訳:晴天であれ!)


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする