テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

地下室の、かいぶつ。

2014-04-14 21:40:26 | ブックス
「こッ、こんにちあわわッ、テディちゃでスッ!」
「がるるっぐるるるっ!」(←訳:虎ですっうわわわっ!)

 こんにちは、ネーさです。
 皆さま、背筋がゾクゾクする恐怖の世界へ……ではなく、
 切なさに胸が痛くなる“かいぶつ”の世界へ、ようこそ。
 さあ、読書タイムの開幕ですよ、こちらを、どうぞ~!

  



           ―― ウーギークックのこどもたち ――



 文は坂本裕司さん、絵は林田秀一さん、2014年3月に発行されました。
 ええ、そうです、本日ご紹介いたしますのは、絵本です♪

「えほんだけどォ~、これはァ~…」
「ぐーるがるるっ??」(←訳:ダークサイドっ??)

 御本の表紙でドス黒さをふりまいている、
 得体の知れないモノ。

 それが、ウーギークックです。

 ウーギークックは、
 地下のボイラー室に巣食う“かいぶつ”。

「あわッ、あわわわッ、かいぶつゥ!」
「がる~!」(←訳:怖い~!)

 そのボイラー室は、病院にあります。
 病院で、
 ウーギークックの噂をするのは、こどもたち。

     きえたこどもは
     ボイラーしつにつれていかれたのよ――

 生まれたときから、ずっとこの病院にいる、るる ちゃん。
 るる ちゃんも、聞いたことがありました。

     そこには かいぶつがすんでいて
     こどもたちの たましいを たべてしまう――

「たッ、たべられたくゥないィ!」
「ぐるるっ!」(←訳:ボクもっ!)

 るるちゃんは、地下室へ向かいます。
 皆の反対を振り切って。

     わたしは ウーギークックに いいたいことがあるの――

 そして地下室に行ってみれば。
 ああ、噂は本当だったのでした。
 暗闇の奥、
 くちゃくちゃと音を立て、
 何かを食べているのは……ウーギークック!

「にににッ、にげたほうがァッ」
「がるるぅ!」(←訳:いいよぅ!)

 るるちゃんは
 ウーギークックに言いました。

     こどもたちの たましいを
     おねがい たべないで――

 “かいぶつ”ウーギークックは
 るるちゃんへ、どう応えたのでしょうか。

「おッ、おそろしィことがァ~…」
「ぐるるるる!」(←訳:起こりそう!)

 生命の深淵を覗きこむ、
 魂のありかを問う、
 るるちゃんと
 ウーギークックのやりとり。

 きりきりと、
 こころを削って燃やしてゆくような、
 “こども”と“かいぶつ”の語り合い。

 ……もしかしたら。

「もッもしかッ??」
「がるるぐるるるっ?」(←訳:もしか何ですかっ?)

 もしかしたら、
 あなたのお家にも
 ウーギークックの住む地下室があるのかもしれません。
 あなたが知らないだけで、
 床下に、壁の奥に、ウーギークックは暮らしている。
 そして、
 あなたのたましいのかたちを
 じっと見つめている……。

「えええッ?」(←後ろを振り向く)
「がるぅ?」(←やはり振り向く)

 2013年7月~9月に放送されたTVドラマ『Woman』から生まれた絵本です。
 坂本裕司さんの詩歌をも超える文章、
 林田秀一さんの残酷なまでに愛らしい絵、
 ともに素晴らしい!
 全活字マニアさんは急いで書店さんの絵本コーナーへ!






 
コメント
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