もうすぐ、新年。
テムズ河畔では花火の準備が進み、
ロンドンの街路には祝杯気分の人々が繰り出してゆきます。
その一方で、
マイクマフト氏が出向いたのは。

「ふむ! 配達先は、この3ヶ所か!」
《宇宙サンタクロース連盟プレゼント配達局ロンドン支部》にて、
《白髭連盟》のマイクマフト氏が受け取ったのは、
未配達のプレゼントと、
配達先の住所データです。
「早く届けねば!
待ちくたびれたチビっ子たちの首が
キリンのように伸びてしまったらタイヘンだ!」
急げや、急げ。
相棒のロディくんと、
さあ、出発!
「今年の贈り物は、今年のうちに!」

「えーと、まずは、ここか……?
『峠の先の、スズメのお宿』……?」
住所データが示すのは、竹を編んで作った一軒の家。
静かに扉をノックいたしますと――
「きゃあ♪ あんたが代理サンタね!」
飛び出してきたのは、お母さんスズメと、
ちゅんちゅんピーピーと賑々しい数十羽の仔スズメたち。
プレゼントに群がる仔スズメたちの笑顔に、
マイクマフト氏の頬も弛みます。
お母さんスズメも大喜びで。
「あっ、そうそう!
代理サンタさん、つづらはお好きかしら?
うちには、大きなつづら、小さなつづら、
ふたつあるんだけど、どっちか持ってかない?」
……大きいつづらと小さなつづら、ですか?
それは……。
「い、いやっ、ありがたく存じまするが、
マダム、今回は遠慮させていただきたいっ」

「ふぅっ! つっ、次は、ここだな……?
『浜辺の風来坊』……?」
2番目の住所データが示したのは、
穏やかに波が打ち寄せる浜辺。
そこでキョロキョロと、
ひと待ち顔をしているのは――
「おお! あなたが代理サンタ殿かぁ!」
甲羅も立派なカメさんが
嬉しそうに砂の上でパタつきます。
「海の底でうちの子が待ちかねとるよ。
そうだ、一緒に来てくれんかね、
竜宮城へ?」
……浜辺……カメさん……竜宮城……
それは……。
「い、いやっ、ありがたい申し出ですが、またの機会に!
ムッシュウ、お子さんによろしく!」

「ふぅ、はぁ~…つ、次は、ここか……?
おかしいな、誰もおらんようだが……」
ここが最後の配達先か、と
現在地と住所データを、
マイクマフト氏が照らし合わせようとした
その瞬間です。
「あっ! こ、こらっ!」
マイクマフトおにいちゃんを襲ったのは、
なんと、予想外の悲劇……!!
~その4!に続く~
テムズ河畔では花火の準備が進み、
ロンドンの街路には祝杯気分の人々が繰り出してゆきます。
その一方で、
マイクマフト氏が出向いたのは。

「ふむ! 配達先は、この3ヶ所か!」
《宇宙サンタクロース連盟プレゼント配達局ロンドン支部》にて、
《白髭連盟》のマイクマフト氏が受け取ったのは、
未配達のプレゼントと、
配達先の住所データです。
「早く届けねば!
待ちくたびれたチビっ子たちの首が
キリンのように伸びてしまったらタイヘンだ!」
急げや、急げ。
相棒のロディくんと、
さあ、出発!
「今年の贈り物は、今年のうちに!」

「えーと、まずは、ここか……?
『峠の先の、スズメのお宿』……?」
住所データが示すのは、竹を編んで作った一軒の家。
静かに扉をノックいたしますと――
「きゃあ♪ あんたが代理サンタね!」
飛び出してきたのは、お母さんスズメと、
ちゅんちゅんピーピーと賑々しい数十羽の仔スズメたち。
プレゼントに群がる仔スズメたちの笑顔に、
マイクマフト氏の頬も弛みます。
お母さんスズメも大喜びで。
「あっ、そうそう!
代理サンタさん、つづらはお好きかしら?
うちには、大きなつづら、小さなつづら、
ふたつあるんだけど、どっちか持ってかない?」
……大きいつづらと小さなつづら、ですか?
それは……。
「い、いやっ、ありがたく存じまするが、
マダム、今回は遠慮させていただきたいっ」

「ふぅっ! つっ、次は、ここだな……?
『浜辺の風来坊』……?」
2番目の住所データが示したのは、
穏やかに波が打ち寄せる浜辺。
そこでキョロキョロと、
ひと待ち顔をしているのは――
「おお! あなたが代理サンタ殿かぁ!」
甲羅も立派なカメさんが
嬉しそうに砂の上でパタつきます。
「海の底でうちの子が待ちかねとるよ。
そうだ、一緒に来てくれんかね、
竜宮城へ?」
……浜辺……カメさん……竜宮城……
それは……。
「い、いやっ、ありがたい申し出ですが、またの機会に!
ムッシュウ、お子さんによろしく!」

「ふぅ、はぁ~…つ、次は、ここか……?
おかしいな、誰もおらんようだが……」
ここが最後の配達先か、と
現在地と住所データを、
マイクマフト氏が照らし合わせようとした
その瞬間です。
「あっ! こ、こらっ!」
マイクマフトおにいちゃんを襲ったのは、
なんと、予想外の悲劇……!!
~その4!に続く~