テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

怖くて、楽しい?傑作選!

2019-01-08 22:16:52 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでッス!
 こここッことしもォ~きたァのでスゥ!」
「がるる!ぐるるるがるるぅ~!」(←訳:虎です!怖いのが来たよぅ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 ……突如、月を覆い隠す重苦しい雲……
 ……塀の上をひたひたと歩く黒猫……
 ……ツタ葉が壁を這うゴシック建築……
 はい、拙ブログでは度々“怖いお話”を御紹介しておりますが、
 2019年の読書タイムで記念すべき一冊目の“怖っ!”は、
 こちらの作品を、どうぞ~♪
 
  


    
      ―― 芥川龍之介選 英米怪異・幻想譚 ――



 編訳は澤西祐典(さわにし・ゆうてん)さん・柴田元幸(しばた・もとゆき)さん、
 2018年11月に発行されました。
 御本の題名からもお分かりですね、
 文豪・芥川龍之介さんが編集したアンソロジーをもとにした短編作品20篇、
 芥川さんが翻訳・抄訳した作品、
 芥川さん御自身の作品1篇、
 計23作品が収録されています。

「ほわわァ? なんだかァ、めずらしィ~??」
「ぐるっるる!」(←訳:レアっぽい!)

 ええ、この御本、というか、
 原本となったアンソロジーの成り立ちは、
 レアケースというか、珍奇というべきか――

 遡れば、
 大正13~14(1924~1925)年のことです。

 芥川さんは、旧制高校の生徒たちのための
 英語副読本の編集を手掛けました。

 全8巻から成るその副読本の内容は、
 小説、戯曲、エッセイなどの文学作品51篇。

「わッ! えいごォ??」
「がるるぐるる!」(←訳:どれも英文だ!)

 そう、芥川さんが編んだ副読本とは、
 和訳なし、ぜ~んぶ英語の、
 英語の授業のための副読本、だったのでした。

 なので、売行きはあまりよくなくて、
 話題にならぬまま、だったのですけれど……
 ここで編訳者の澤西さん柴田さんが登場します!

「りにゅーあるゥ!」
「ぐるる!」(←訳:再編成!)

 いま読んでも楽しい!面白い!
 そう思える作品を8巻の中から選び、
 翻訳して一冊にまとめよう!
 というアイディアが実を結んで、
 この御本が生まれました。

 オスカー・ワイルドさん著『身勝手な巨人』、
 エドガー・アラン・ポーさん著『天邪鬼(あまのじゃく)』、
 アーノルド・ベネットさん著『不老不死の霊薬』など、
 怖~い!っていうよりも、
 ちょっとヘンテコだったり、
 笑えたり、
 驚かされたり、な作品が多いんですけれども……

 ええっ?と目を丸くしてしまうのは、
 本文371ページの、

   『アリス物語』(抄)!

 なんと、芥川龍之介さんと菊池寛さんの共訳作品です!!

「ええええェ~ッ! ありすゥ?!?」
「がるる~!?!」(←訳:本当に~!?!)

 芥川さんと菊池さんが『不思議の国のアリス』を翻訳?

 いえ、正確には、芥川さんが翻訳半ばで亡くなり、
 親友の菊池さんが
 遺稿を引き継いで完成させた、のだそうですが、
 うううむ、これが芥川さんのアリス……
 想像以上に愉快&活き活きしてるわ……!

「ざんねんッ、なのでス!」
「ぐるるるるがるぐるるる~!」(←訳:芥川さんの完訳読みたい~!)

 『アリス物語』に関する詳細な説明、
 芥川さん訳・イェーツさん著『春の心臓』、
 芥川さん著『馬の脚』についての
 編訳者さんたちのすばらしい解説も、
 この御本の“必読!”部分のひとつです。
 活字マニアの皆さま、読み逃さないでくださいね。

「くすくすゥわらえてェ~♪」
「がぅっるるぐる!」(←訳:ちょっぴり怖い!)

 蛇足ですが、
 私ネーさのおすすめは
 本文11ページ、
 ロード・ダンセイニ著『追い剝ぎ』!

 ティム・バートン監督、
 コマドリ人形アニメで映画化して~!!
 と叫びたくなるくらいのステキな傑作ホラー譚です。
 皆さま、ぜひぜひ、一読を♫
 


 
コメント
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