テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ あたたかな日の色の果実 ~

2021-06-09 23:46:16 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 かんきつるいのォ、おうさまとォいえばッ?」
「がるる!ぐるーるるるーる?」(←訳:虎です!グレープフルーツ?)
「れもんにィ、らいむゥ!」

 こんにちは、ネーさです。
 ブブー!
 柑橘類の王さま、
 それも日本で、といえば……
 はい、答えは↓こちらですよ。
 という訳で、本日の読書タイムは、
 あの文豪さんの名作短編を、どうぞ~♪

  



         ―― 蜜柑 ――



 著者は芥川龍之介さん+げみ さん、
 2018年7月に発行されました。
 立東舎さんから刊行されている
 《乙女の本棚》シリーズ第七弾です。

 大正・昭和の時代の文豪さんの名作と、
 現代の人気イラストレーターさんたちの組み合わせで
 新たに創り出される
 “ものがたり画本”ともいうべきこの御本、
 隅から隅まで美しい~!

「いろあいィがァ~」
「ぐるるる!」(←訳:みかん色!)

 そうですね、
 書籍の装画を数多く手掛けていて、
 活字マニアさんにもお馴染みの
 イラストレーターのげみさん、
 この御本では
 表紙はもちろん、
 本文でも、
 様々なみかん色を用いています。

 鮮やかなみかん色、
 ちょっとくすんだみかん色、
 渋いみかん色、
 どっしり重いみかん色……

 そして、
 みかん色に彩られた物語の方は。

「ゆうめいィなのでスゥ!」
「がるぐる!」(←訳:忘れ難し!)

 1919年に発表された短編小説は、
 もとは『私の出遇った事』と題されていたものが、
 のちに『蜜柑』と改められた、
 と伝えられています。

 物語は、
 ある曇った冬の日暮れ、
 横須賀発の上り二等客車――
 現在のJR横須賀線の横須賀駅、
 そのホームに停車中の、
 列車内から始まりました。

 疲労と倦怠感に苛まれている
 《私》は、
 発車の笛を待っていますが。

「あれれッ?」
「ぐるがる!」(←訳:誰か来た!)

 客車には、
 珍しく《私》の他に
 一人も乗客はいない……と思っていたのに、
 発車間際に飛び込んできた
 お客さんが?

「おんなのこォ、でスゥ!」
「が~るるぅ?」(←訳:あ~でもぉ?)

 十三歳かそこらの女の子が、
 膝の上で握りしめている手には、
 三等の赤い切符。

   三等?
   ここは二等の客車だぞ?

 苛立ったせいでしょうか、
 貧しげな身なりの女の子を
 《私》は冷ややかに眺めますが、
 その後、
 女の子は意外な行動に……?

「ほわわッ!」
「ぐぅっるがっるる!」(←訳:ちょっとびっくり!)

 物語のクライマックスであるその情景を、
 げみさんは見事に視覚化!

 まるで映画みたい!と
 私ネーさ、声に出してしまいましたよ。

「おんがくもォ~」
「がるるるるるる!」(←訳:聞こえてきそう!)

 “絵ものがたり“としての、
 『蜜柑』。

 熱烈なファンも多い
 芥川龍之介さんの名作と、
 イラストレーター・げみさんの作画の
 幸福なマリアージュです。

 ファンの方々にも
 『蜜柑』を読んだことがない方々にも
 激おすすめですよ。
 本屋さんで、図書館で、
 ぜひ、探してみてくださいね~♪
 

  
コメント
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