テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

 ~ 月夜の、まぼろし ~

2021-06-24 23:42:01 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うわわわわァ~んッ!」
「がるる!ぐるるる~!」(←訳:虎です!ひどいよ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 え? オリンピック&パラリンピック期間中は、
 大河ドラマ『青天を衝く』が放送休止ですって?!?
 …………ガッカリし過ぎて目の前が暗くなりましたが、
 こんな時こそ読書で傷心を癒やしましょう。
 本日は、こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  


 
       ―― 月夜とめがね ――



 著者は小川未明(おがわ・みめい)さん、
 絵は げみ さん、
 2019年10月に発行されました。

 文豪さんの名作と
 現代の人気イラストレーターさんの組み合わせで
 古典に新風を吹き込む
 《乙女の本棚》シリーズ、
 今回は小川未明さんの
 あの作品が登場ですよ。

「それはァ、つきよのォ~」
「ぐるるるがるる!」(←訳:不思議な出来事!)

 《日本のアンデルセン》とも称された
 小川未明さん(1882~1961、本名は小川健作さん)は、
 新潟県の高田(現在は上越市)に生まれました。

 物語は、
 生まれ故郷の風景が投影されているのでしょうか、
 こんな描写から始まります。

   町も、野も、
   いたるところ、
   緑の葉に
   つつまれているところでありました。

「しずかァなのでスゥ~…」
「がるぐるる!」(←訳:特に夜はね!)

 穏やかな、月のいい晩。
 おばあさんが住んでいるのは、
 町のはずれにある家。

 ひとり、
 窓の下にすわって、
 針仕事をするのが日課のようですが……。

「めがァ、かすむゥ~!」
「ぐるがるぐるるる~」(←訳:針に糸が通らない~)

 と、そこへ。

 外の戸をコトコト叩く音が。

「かぜェ、かなァ?」
「がるぐるるる?」(←訳:気のせいかも?)

 すると、今度は。

 窓の下に、小さな足音が。

「ふァ? おきゃくゥさんッ??」
「ぐるるるるがる?」(←訳:知らない人だよ?)

 見知らぬ男性は、
 私はめがね売りだと名乗ります。
 今夜は月がいいから、
 売って歩くのだと。

 おばあさんは喜びました。
 めがねがあれば
 針仕事にはちょうどいいし、
 男性が選んでくれためがねを
 かけてみれば――

 目ざまし時計の数字も、
 カレンダーの字も、
 はっきり、よく見える!

「よかッたでスゥ!」
「がるるる~!」(←訳:めでたし~!)

 おばあさんを嬉しがらせた
 不思議なめがね。

 おばあさんのもとへ
 めがねを売りに来た
 不思議な男性。

 そして、
 月の光の中、
 不思議なめがねが
 おばあさんに見せたものとは……?

「ふしぎィだらけッ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:不思議の町だね!)

 小川未明さんの代表作であるこの作品、
 こうして読み直してみれば、
 なかなかに不思議尽くしです。

 おばあさんも、
 めがね売りの男性も、
 どこか人間ではないような。

 なんだか、
 童話というより、
 遠野物語を読んでいるような。

「げんそうゥてきィなのでス!」
「がるぐぅーる!」(←訳:かつシュール!)

 すべては
 花の香りに包まれた
 月夜の庭の幻なのか。

 それにしても、
 『檸檬』『蜜柑』
 この『月夜とめがね』、と
 どの作品でも素晴らしい絵を描いてくださった
 イラストレーターの げみ さん.。
 私ネーさ、すっかりファンになってしまいました。

 皆さまも、
 げみ さんによる
 新たな《月夜のものがたり》を、ぜひ♪

 
 
コメント
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