昨日、『KOBECCO』の編集長が取材に見えたことを書いた。
今日になって思い至った。
10月号の特集記事は「阪神間レトロ・モダン物語」と予告がされていたのだ。
それで、わたしの知るレトロ建築を紹介したのだが、彼女は、わたしをも取材して帰った。
そうだったのだ、わたしも知らぬ間にレトロの対象になっていたのだ。
そうですねえ、もう、この人間けっこう古いです。
そして、決してわたしはモダンではありません。
「輪」オープン以来たしか22年を過ぎたと思うが、これまでで最も遠い地からのお客様があり
ました。
2番席に着かれたその人は、大きなバッグを傍らに置き、
「Iさんでしょうか」と。
「ハイそうです」と答えると、
「わたし、U崎と申します」と礼儀正しく答えられた。
驚いた。まさかである。千葉県の人である。
バスでやって来たのだと。関西は初めてだと。恐れ入りました。
彼はバリトンの声楽家であり、今、幻の詩人、北山冬一郎のことを論文に書き進めておられ
る。
で、わたしがブログに、北山冬一郎のことをチラッと載せたものだから、検索にかかってコメ
ントを寄せて下さった。それ以来、メールでやり取りしていた人なのである。
彼は非常によく調べておられる。自分が集めた資料をわたしにも惜しげなく提供して下さって
いる。誠実そのものの人だ。
しかしまさか、千葉からやって来られるとは思ってもみなかった。
せっかくだから、わたしも、わたしが知りうることをお話し申し上げた。
北山冬一郎のことは、これまで誰も詳しいことを書いていない。しかし浮かび上がって来るも
のには、不思議な魅力がある詩人である。終戦直後の混沌の時代を、一時脚光を浴びなが
ら、後は誰にも顧られることなく駆け抜けた人である。異臭ふんぷんたるものがある。
この人を論文の対象にしたU崎さん、偉い!
「頑張って、いい論文書いて下さい」
U崎 「はい、書けたら、Iさんにお送りします」
で、帰って行かれたが、今夜は大阪ドーム球場でロッテ・オリックス戦を観戦して、明日帰る
のだと。
彼は、ロッテファンなのだ。
明日8日(水)の「輪」のおすすめ定食は、
「カツ丼」です。
よろしくお願いいたします。