木津川計さんの一人語りの会場で、杉山先生のご息女、初美さんにお会いした。
わたしも家内と一緒に行ったのだが、初美さんもご主人とご一緒だった。
木津川さんは、杉山先生を敬愛なさっていて、昨秋の「杉山平一さんを偲ぶ会」にもご出席で、心温まるスピーチをなさったのだった。
今日の公演のアンコールで再登場された木津川さんが、会場の男どもに向けて、「ご主人、奥様の誕生日には花束をお贈りになって下さい」と話されていた。まるで落語家のような面白い話の中で。
木股さんとこのご主人はどうされるだろうか?わたしはしない。なぜかと言うと、家内の誕生日がわたしの誕生日の3日前だからだ。
わたしが家内にしたら、家内は、三日後のわたしにもしなければならないと思うだろう。家内の心にそんな負担をかけるわけにはいかない。
話がそれた。
初美さんから、CDをお借りした。
杉山先生がラジオに出演された時の音源である。
「末次摂子の日曜サロン」というFM大阪の番組。1992年2月9日放送。
21年前だ。ということは、先生76歳か。
早速聞かせて頂いたが、当然ながら声がお若い。弁舌も爽やか、歯切れが良い。
楽しく聞かせていただきました。
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追記
初美さんからは、あるコピーも同時に頂いた。
杉山先生の昔の掌編小説。「文学雑誌」63号(H3,11,30)に載った「幻 その他」。
これについて実は、CDの中で話されている。
「杉山は女のことを書かない」と言われていたので書いてみました、というようなことをお話しになっている。読んでみると、なるほど杉山先生らしくない作品だ。ちょっと気恥ずかしくなるような内容。けど、なにかうれしい気もします。
午後、「フレンテホール」へ木津川計さんの一人語り劇場「無法松の一生」を観に行きました。 良かった。感動しました。
「無法松の一生」は元々、小説「冨島松五郎伝」(岩下俊作)を映画化した時についた名前。
小説は昭和14年に発表されているが、映画化は昭和18年。要するに戦時中である。そこで検閲の問題が出てくる。主人公、無法松は俥屋。俥屋風情が帝国軍人の未亡人に想いを寄せるとは何事か、と肝心な場面がズタズタにされたという話を木津川さんがなさった。どこがどうなったかを話芸で伝えて下さった。時に笑いを呼びながら感動的に語って下さった。
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場内は撮影禁止、録音禁止でした。
で、講演が終わって、木津川さんが退場されたところをちょっと撮影しました。この舞台で2時間近くの公演でした。
単に小説の語りではありません。朗読でもなく、一人芝居でもない、木津川さん独自の芸でした。
時代背景を解説しながら、登場人物の独自の解釈や、映画と対比させての語りなど見事なものでした。
話の中に「チャタレイ夫人の恋人」が出てきて驚きました。
丁度いま、わたしが「KOBECCO」3月号の原稿に、この「チャタレイ夫人の恋人」を翻訳出版してワイセツ文書販売罪で有罪になった伊藤整さんのことを書いているところでした。
なるほど、そんなところで「無法松の一生」と繋がってくるのか!と目を開かれました。
講演が終わって、ロビーで木津川さんの著書の署名販売がありました、
一冊お願いしました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8%E6%B4%A5%E5%B7%9D%E8%A8%88