喫茶 輪

コーヒーカップの耳

十八歳の聖子さん

2021-07-26 09:35:02 | 田辺聖子さん
『文芸春秋』7月号を読んでいる。
「田辺聖子「十八歳の日の記録」」。
整理していた伊丹の聖子さんの家の押し入れから見つかったという日記。



すでに十八歳の女の子が書けるような文章ではない。
上手いし、文学的教養がハンパではない。
足立巻一先生が文学学校時代の聖子さんを評しての「なんぼでも書いてきた」が納得させられる。
この日記を発見されたのは聖子さんの姪の田辺美奈さん。
この美奈さんには、『完本コーヒーカップの耳』でお世話になった。
編集の岩田一平さんを通じて、詩集『コーヒーカップの耳』に聖子さんが提供してくださった帯文の再使用を許可してくださったのだった。

今日読んだところに驚いた。
戦時中の日記ということで、だいたい内容は予想できていたのだが。
こんなことがあったのか!と思った。
空襲で福島のご自宅が焼けてしまった時のことである。
←二段階クリック。
「フン、焼け出されのくせに気の利いた服、着とる」
そんな差別があったなんて、思いもしなかった。
これも時代の貴重な証言。
《一億戦友とみんな標榜するけれどもそんな事はうわべだけだ》と18歳の聖子さんは喝破する。

聖子さんの帯文のある本。『コーヒーカップの耳』
コメント
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