喫茶 輪

コーヒーカップの耳

「現代川柳」第4号 2023年冬号 

2023-01-19 08:40:53 | 文芸
「現代川柳」第4号 2023年冬号です。



目に留まった川柳をいくつか。

  自分史の中で踊っている私 中野文擴

  誰も彼もわかるわかると去って行く 小林康浩
  
  水注ぎに来る絶妙なタイミング 小川敦子

  「いつもの」が通じる店がひとつ消え 小川敦子

  塩だけで良かった頃のにぎり飯 近藤ゆかり

  ある日ふと地球ふわりと月隠し 中野文擴

  わたくしの趣味は将棋と年賀状 吉田利秋

  減らず口たたくAI生れそう 宮本緑

  人類にそろそろ飽きてきた地球 若林よしえ


  
などなど、いいのがいっぱい載ってます。

ところで読んでいて驚いたのがこのページ。
←クリック。
「ええ~っ?」でした。
大西俊和さんの訃報が。
しかもお亡くなりになったのが12月26日。
この本の発行日は一応1月20日になっていますが、わたしの手元に届いたのは昨日、1月18日です。
よくも印刷に間に合いましたね。

この大西俊和さんには昨年お会いしてます。
「喫茶輪」にご来訪下さいました。約一年前の1月24日でした。
正に一期一会でした。
素晴らしいお人柄の人でした。
いい友人ができたと思ったのでした。
妻の手作りの大福もちを「おいしいおいしい」といって食べて下さいました。
大谷美術館の近くだという自宅にも「おいでください」と言ってくださいました。
「また来ます」と言って自転車で夕暮れの道を帰って行かれました。
きっとまたお会い出来るものと思っていました。
大きな病をお持ちだとは聞きましたが、残念でしかたありません。
大西さんは心療内科のドクターでしたが、きっといい先生だったのでしょう。
心からご冥福をお祈りいたします。




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『南のくにに雪ダルマ』

2023-01-18 13:01:08 | 本・雑誌
今、読んでいる何冊かの本のうちの一冊。



『南のくにに雪だるま』(木割大雄著・1996年・邑書林刊)です。
二十数年前に出たもの。川柳人の中野友廣さんにお借りしている本です。
著者の木割大雄さんは俳人。

本の見返しにこのような言葉が。
←クリック。

  いちゃりばちょーで(出会えば兄弟)
    2200キロメートルの友情
               木割大雄

  北海道のユーコちゃんから
  沖縄のユーコちゃんへ
  雪だるまのプレゼント。

  ゆったりとした友情は
  ある日の熱情から生まれました。
  人と人とが
  不思議な縁で結ばれて
  とうとう
  2200キロメートルの友情が
  育っていったのです。
  一人の琉球舞踊家が
  アイヌの人たちと踊りたい―
  そう思いつめて
  実現した
  アイヌ古式舞踊との共演。

  そのいきさつを
  聞いてください―


ということで、この本はアイヌと琉球が舞踊を通じて交流する話。
差別が根底にあって重い話でもあるのですが、プロデュースする木割さんの人間性豊かな人柄とその筆致であたたかく読ませます。
添えられた中野さんのメッセージにこうあります。
「私は私なりに読んで、その昔、感動したものです。」と。
わたしは今、半分少し読んだところです。
読み始めは少々退屈だったのですが、読み進むにつれ、木割さんの人間性に魅かれて行き、感動が徐々に迫ってくる感じです。
中野さんはわたしに木割さんの魅力を知らせようと思われたのですね。

追記 上のブログを書いてからも読み続け、今、大きな感動と共に読み終えました。3時間です。
途中、165ページにこの本を貸してくださった中野友廣さんの名前が登場しました。
《仲村米子さんへのプレゼンターは、園田学園の職員、中野友廣さん。彼を指名したことにも理由がある。五年前、私に仲村米子さんを紹介してくれたのが中野さんだったのだ。》仲村米子さんはこの本の主人公ともいうべき主要な登場人物。そうか、そうだったのか、でした。



『コーヒーカップの耳』木割さん読めばどう思われるだろうか?


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『空が魔』

2023-01-18 12:43:49 | 本・雑誌
先に読み終えたいた本、エッセイ集『空が魔』(由良力著)です。



表紙絵は先年お亡くなりになった力さんの夫人、佐知子さんの手になるもの。

本文の中にはチラチラと佐知子さんも登場しますが、具体的には語られてなく、
「○○の旅に妻と行った」とか、「妻は用事があって先に帰国した」という程度のもの。
ちょっと残念です。佐知子さんの姿は見えません。
エッセイの半分以上(?)は旅行の話。ほぼすべて海外旅行の体験記です。
貴重な体験をしておられます。
学校の教師や教授をなさっていたということで、ゆとりのある休暇が取れて、長い時には一ヶ月以上もの旅もあります。
そういえば佐知子さんの詩にも異国でのものがありました。
わたしには叶わぬことです。
因みにこの本の発行日は2022年11月30日になっていますが、これには意味がありそうです。
ただそのことについてはここでは書かないでおきます。
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「リヴィエール」186号

2023-01-18 11:01:58 | 
神戸の詩人永井ますみさんからお送りいただいた。



『リヴィエール』186号です。
永井さんのエッセイ「マイブーム・金柑の甘露煮」を読んで「あらら」と声が出ました。
自宅の庭に実った金柑で甘露煮を作る話。
今朝ちょうど、うちの隣の地蔵さんの境内の金柑を近所の世話人の一人が脚立をつかって収穫したとこでした。

これは永井さんの詩「洟をかむ音」です。
←クリック。

小さな分校から中学へ進む時の緊張感が方言を交えて表現されています。
たしか永井さんは鳥取が故郷。わたしもルーツが山陰にありますので、懐かしい匂いがします。

ほかの同人さんも、みなさん分かりやすい言葉で書かれていて馴染めます。

『コーヒーカップの耳』 おもしろうて、やがて哀しき喫茶店。

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震災28年目。

2023-01-17 08:27:19 | 震災
まだこんな記事が残ってるんですね。

「震災20年目特集記事」

2冊の震災誌。詩集「ヒマワリ」と散文「阪神大震災」。

今日はまたこれを繙こう。

『コーヒーカップの耳』</a>震災の話のいくつか。
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「なんでも鑑定団」に杉山先生の本が?

2023-01-15 16:54:54 | 杉山平一先生
先日、テレビ「なんでも鑑定団」を見ていてチラッと写ったものに目が留まりました。
録画していたので再生して写真を撮りました。



杉山平一先生の著書が出品者の家の書棚に。『映像の論理・詩の論理』です。
著者名はよく見えませんが間違いないです。

この時の鑑定品は横尾忠則のポスター。



200万円だったか?の値段が付きました。
ポスターとはいってもシルクスクリーン画だったのです。
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詩集『ちから詰まる日』

2023-01-13 14:42:11 | 
お贈りいただいていた詩集『ちから詰まる日』(岩崎風子著・思潮社刊)を読ませていただきました。



敢えて帯を外して表紙をお目にかけます。
装画は著者ご本人の手になるもの。「書」に優れた人でもあります。
毎年いただく年賀状は勢いのある見事な毛筆でのもの。
もう昔、神戸の詩人伊勢田史郎さんとご一緒に「喫茶・輪」にご来訪いただいたこともありました。

この詩集には「あとがき」も跋文もがありません。
詩作品は、豊富な語彙に彩られています。艶やかともいえるような言葉の数々。
それが綾なすよに。

これは表題詩「ちから詰まる日」。
←クリック



想像的な描写ですが、「妙」ともいえます。

これは「雪の果樹園」。
←クリック



次は「寒夜開く」。
←クリック



第一連の7行、見事な言葉の展開です。

そして巻末の「潮騒」。
←クリック

巻中で最も短い詩。
終わりの3行、わたしには謎です。

  はじめて知る
  序(はじめ)という意味を
  だまって告げたい人がいる



岩崎さんの一風変わった詩の世界、楽しませていただきました。ありがとうございました。


『コーヒーカップの耳』 おもしろうて、やがて哀しき喫茶店。
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正月からの嘘

2023-01-13 09:16:24 | 
年の初め、元日から嘘をつきました。

毎年の年賀状にわたしはいつもミニエッセイ、あるいは詩を作って載せることにしている。
今年は写真にあるような詩を載せた。←クリック。
この最後の四行。
  
  わたしたちは今年の元日も
  「オメデトーゴザイマス」
  と言葉を重ね
  「コトシモヨロシク」と唱える。


残念ながら今年、わたしたち夫婦は、我が家で共に正月を迎えることはできなかった。
妻は年末にER入院(コロナではない)、わたしは大阪の娘一家の家でだった。
正月から大ウソをついたわけだ。
妻は昨日退院してきた。
我が家では今日から新年が始まる。
コメント (2)
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人質か

2023-01-12 16:05:14 | 健康・病気
連れて帰ろうとしたら、書類を持たされて、「納めてこい」とのこと。そしたら帰すというのだ。
仕方なく一階の窓口で、書類に書かれた身代金を支払い、領収証を持って四階に戻り、見張り人にそれを示すと、やっと解放してもらえた。お日様は昨年コーキコーレーシャになったからか意外に安かった。
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お日様が

2023-01-12 10:56:49 | 健康・病気
お日様、15日ぶりに連れ戻してきました。
眩いです。
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詩集『破れ』

2023-01-11 18:08:22 | 
松本衆司詩集『破れ』(ひかり企画刊・2000円+税)を読ませていただきました。



松本さんは、神戸の詩人江口節さんからお贈りいただいている詩誌『多島海』の同人。
いつも力量のある詩人だなあと思っていました。レベルが高いです。

例によって、先ず「あとがき」。
←クリック
なかなか深遠な言葉ですね。

ざっと読ませて頂いて「暗喩が巧みだなあ」と思いました。優れた詩人の条件の一つでしょう。
読むものの想像力を膨らませます。
詩集の前半には特にそれを感じさせる作品が並んでいました。そして、言葉の流れが、清澄な細い水が巡るような。
時もそのように流れていて。わたしの個人的な感覚です。

これは「更待月夜」という、そのような作品。
←クリック

←クリック

前半に比して後半は、比較的具体性の増した作品が多く感じられました。
わたしのようなリアリストには馴染めます。

こんなの好きです。「いずれ夜色が下りるまで」。

   玄関のほうから妻が呼ぶ
   室内からその声に応じると
   空がきれいなのよ、と言う

   色がみるみる
   かわってゆくのが
   おもしろい、と言う
   見ると、夕暮れの光に
   今日は殊のほか
   遠く六甲山系の山並みが
   かなたまでくっきりと見える

   四天王寺のある台地から
   法然や家隆が祈りをこめた
   浄土をしのぶ日想観には
   とおく及ばないが
   雄略御陵の森が近くに見える
   マンションの階上で
   わたしはやはり頬杖をついて
   西の空を眺めていた
   きらめく光源のあたり
   その彩色を楽しんでいた
   妻とともに
   夕日が没して
   しばらく、そのまま
   薄青い空を行く
   雲を見るともなく
   眺めていると
   層をなす雲が
   視界のかぎり
   凄まじい夕焼けに
   浮かび上がり
   ひろがりあふれている

   静謐な
   愛の時間だった
   こんなにも浄らかに
   その時間があったのだ
   涙腺のあたり
   細い血のような
   一筋の光をとどめて
   いずれ夜色が
   下りるまで


ほかにも「心の河」には哀しく共感させられました。
そして表題作『破れ」。その一部。

   そんな冬の日
   わたしは思いがけず
   病の宣告を受けた
   いよいよ蝕みはじめたらしい


40行あまりの詩ですが、できれば詩集を入手して全篇、そして全作お読みください。

『コーヒーカップの耳』 面白うて、やがて哀しき喫茶店。
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明日はお日様が

2023-01-11 13:39:35 | 健康・病気
明日はどうやら家の中までお日様が射し込みそうです。日影の時が長かったなあ。半月ほどでしたが、これ実感。やれやれです。
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お日様

2023-01-09 08:41:17 | 健康・病気
家の中にお日様が射さないとやはり家の中は暗いですね。なぜか独り言が増えてます。今週中には日差しが戻ってくれるでしょうが。
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『遠い「山びこ」』という本 

2023-01-07 20:54:49 | 出久根達郎さん
『遠い「山びこ」』(佐野眞一著・1996年刊・文春文庫)を読み終えた。
単行本は1992年に文芸春秋社から出ている。丁度30年前だ。
凄い本だった。自分の子ども時代と重なる部分が多いので余計に感動した。

出久根達郎さんが解説を書いておられると知って図書館からお借りしてきた本。
その「水蜜桃の種」と題された解説、心の底を打つ解説だ。ご自分の体験を語っておられる。
その一部。

《私が用いた教科書に出ていた作品は、江口江一の「母の死とその後」である。
「僕の家は貧乏で、山元村の中でもいちばんくらい貧乏です」という書き出しを、先生に指名された者が朗読したとき、教室に軽い失笑が起こった。私だけが笑えなかった。顔がこわばった。自分が笑われたような気がしたのである。人の口から貧乏という言葉をきくのが、貧乏の当事者だっただけに、とてもいやだった。次の日は学校を休んだ。私は江口江一の作文を、ひどくうらんだのである。
「山びこ学校」の名称は、だから私には良い響きではない。
この題名の本をじっくりと読んだのは、集団就職で上京し、古本屋の店員になってからである。美乏という語が出てきても、笑うものはまわりにいない。私は心置きなく、じっくり読んだ。江一に対しても恨むどころか、「山びこ学校」の生徒43人の中で、もっとも親近感を覚えた。》

この解説は4ページあるが、わたしは、本を手に取った最初と、読み終えてさっき、もう一度読んだ。
出久根さんのお人柄がよく解る解説だ。

『触媒のうた』 出久根さんが帯文で推奨してくださっている本。
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「きみおもう」

2023-01-07 10:01:29 | 文芸
お正月にたくさん読むつもりでしたが、久し振りの読書です。

但馬に暮らす従姉の第4歌集『わらべ唄』(今村明美著)より。


「きみおもう」の章からいくつか。

   掌にほのかな感覚のこりいて君と繫いでいた手を見つむ

   五十年 日びの小さな積み重ね君のすべてを信じてやまぬ

   つなぐ手に君の温もり覚えつつ朧月夜の道歩みいる

   恙なき今日の終わりに「おやすみ」の言葉を交わし君と眠らむ


   
今のわたしに響く歌です。
  
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