Chinaの崩壊を誰よりも早く詳しく取り上げてくれていた宮崎さんが田村さんの本を書評でとりあげてくれています。
宮崎さんの予測が実現するのはもう近いのは間違いないでしょう。なんとしても、その日を目にしたいものです。
「宮崎正弘の国際情勢解題」より 令和六年(2024)1月31日(水曜日)
通巻第8112号
<<読書特集>>
数字をグラフにしてみると一目瞭然、中国経済は間違いなく衰退している
そのゾンビを助けている世界でも珍しい愚昧な国がある
田村秀男『中国経済 衰退の真実』(産経新聞出版)
昨今、中国のネット空間で「中国衰退」と打ち込むと厳重に検閲され、書き込みは消去され、繰り返すと公安がやってくる。「衰退」はタブーである。
「64」(天安門事件)と記号で打ち込んでもダメ、言論統制は以前にも増して凄まじいことになっている。『趙紫陽』『胡耀邦』もダメ、『プーさん』もダメである。換言すれば、それほど習近平は経済運営に自信がないのである。
だって周りを見れば経済がわかるブレーンは殆ど不在、イエスマンと茶坊主に囲まれている。経済のわかる改革派の共青団人脈はぜんぶ閑職へ追いやられた。
評者(宮崎)は十年以上前から「中国経済は死んだ」「余命半年」、「中国大破綻」などと書いて来たし、著者の田村氏とも『中国経済はどこまで死んだか』、『中国発金融恐慌にそなえよ』という本を上梓してきた。
親中派のエコノミスト等は私たちに非難の合唱、大手メディアは一切書評にとりえあげず黙殺した。孤独なる戦いだった。
コロナ禍でサプライチェーンが寸断され、都市はロックダウン、工場はとまった。そのうえに米国の制裁が加重され、EUも中国に急に冷たくなった。台湾危 機を煽れば煽るほどに世界で中国の味方は減ってしまった。南太平洋諸国やアフリカ諸国がまだ中国様々と作り笑顔をしているのは中国が振りまくプロジェクト である。昔から言うように「金の切れ目は縁の切れ目」。
いずれ中国のオトモダチはいなくなる。
中国のGDPの30%を占めた不動産は鏖殺されたも同然、1億5000万人分のマンションが空き室。人類の歴史始まった以来の空前のバブル崩壊である。恒大集団一社だけで負債総額は54兆円(最低に見積もっても49兆円)
不動産ローン支払い中断、ドル建て社債はデフォルト、凄まじい焦げ付きとなって、倒産したデベロッパー本社へ抗議活動をおこなうと公安が自宅にやってきて「二度と加わるな」。個人の預金残をしらべて「不動産を買え」「株を買え」「BYDを買え」と脅迫まがい。
日本の「上品な」メディアはこういう暗黒面を伝えないから多くの読者は中国経済がまだ大丈夫だと錯覚している。
情報に敏感な欧米ファンドはあらかたが中国投資から手を引いて撤退した。その余剰資金が日本株に雪崩れ込んでいるのは一興。
ともかく中国経済は死に至る病の過程にある。けれども生き延びているのはゾンビに生命維持装置をつけているからである。
このゾンビ残存という奇跡がなぜ起きているか?
第一に「数字の誤魔化し」「嘘の経済統計の水増し」だ。本書はその実態、真実の数字をわかりやすくグラフ化し、しかも総天然色だ。
第二がウクライナ戦争という『僥倖』でロシアとの交易が増え、カンフルとなっているからである。
第三にイスラエルvsハマスで外交に苦渋の選択を強いられた米国の隙を狙って、さっとサウジに食い入ることができた等の偶然の要素がかさなったからだ。
本書の特徴は大手メディアや親中派のエコノミストや官庁系シンクタンクや中国と取引している商社、銀行、証券会社のレポートには現れない、というより中国にとっては知られたくない真実の数字と明確に状況が把握できる図表である。
数字をグラフにしてみると一目瞭然、中国経済はまぎれもなく「衰退している」。GDP成長は虚勢、じつはマイナス、外貨準備は空っ穴。
評者がもっともビックリしたのは47ページのグラフで、「外準(外貨準備高)と海外の銀行からの借り入れの増減額の推移」を数字の一覧ではなくグラフに したところ、「外準の増減額は海外の銀行による対中融資増減とほぼ一致している。中国の外貨準備がみかけこそ世界最大で3兆ドルを超える『巨額』なのだ が、海外からの借り入れによって支えられているに過ぎない」(49p)
ところが、このゾンビを助けている世界一お人好しで、愚昧な国がある。それは何処か、本書にあたっていただきたい。
この世界一お人好しで愚昧な国が日本であることは間違いないでしょう。全く、腹立たしい。
愚昧というより、金に目が眩んだ恥ずかしい国と言えるでしょう。世界一民度の高かった日本がここまで劣化したことを先人んにどうやってお詫びすれば良いのでしょうか。やはり、それな何としても日本を取り戻すことでしかお詫びにならないでしょう。
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